純恋文書（赤） (ページ36)

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「えっと、まず、どこかで休憩…します？」

『ああ、うん。せやな。……って、ここら辺ほぼ空いてへんやろ』

「あ、そうだった…。えっと、じゃあ、……ここからあまり遠くないんで…お家来ますか？」

『……え？』

え？…………あっ！やばい？！お家は気まずい？！

いや、そうだよね。そうだよ。もしかしたら重岡くんはマキさんと付き合えたのかもしれない。彼女がいる方を家に上げるなんて言語道断すぎる……！

『ええよ。片岡がええんやったら』

えっ、私が良いなら………？

「あっ、もちろん！私は大丈夫！じゃあ、行きましょうか」

大学に近いとこに住んでおいて良かった！と改めて思いながら家に向かう。

隣を歩く重岡くんはじんわりと汗ばんでいるようで、家に着いたらまずは冷たいお茶を飲ませなきゃいけない。

まあ、夏だもんね。そりゃ暑いよね。

重岡くんがどこから飛んできたかは分かんないけど、駅から大学は徒歩20分ぐらいだから…多分走ってきたんだろう。

お家に着くまではずっと沈黙だったけど、久しぶりに会う重岡くんはどこか大人っぽい雰囲気を漂わせていた。

あ、……今日、マキさんとのデートだったからか。

って、いやいやいや。分かってたのに凹まないでよね。心臓が締め付けられちゃったら、もう自覚せざるを得ないよ、こんなの。

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「は、はい。どうぞ、お茶です」

そういえば、初めてお兄ちゃん以外の男性をお家に招き入れたな…なんて思いながらお茶を出して、冷房をつける。

『…ありがとう』

いつになく元気がない。

え、やっぱり彼女がいる男性を家に招き入れるのは不味かった？不味いよね。いくらなんでも不味いよね。

マキさんごめんなさい。30分以内には必ずそちらにお返し致します。………ああ！また心臓！分かりやすく締め付けないで！凹むな！

『……いつまで敬語なん』

もはや疑問符が見えてこないぐらいぶっきらぼうな言い方。

流石にバレるか。こんなよそよそしくしちゃったら、不審に思われちゃうよね。ごめん重岡くん…でも敬語じゃなきゃ喋れない………！

『質問変える。いつもこんな簡単に男を家に…』

そこまで言って声が消えた。

どうしたんだろう？と思って顔を覗き込もうとしたけど、流石に無理だ。これで目が合ったら私の負けだ。

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