純恋文書（赤） (ページ35)

今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:108,581 hit

【 p.35 】ページ35

.

バイト終わりにスマホを確認すると、重岡くんからのメッセージが届いていた。

それを五回黙読して、自分の都合良く解釈してないか？見間違えてないか？と確認してから「どこがいいですか？」と送信。

良かった、五分前の連絡で。一時間前とかだったら絶対帰っちゃってたよなあ……。

なんて思っていると、スマホが震えた。

「もっ、もしもし？」

『なんで敬語なん？』

久しぶりに聞く重岡くんの声。

好きだと自覚してしまった後に初めて聞く重岡くんの声。

………やばい、かなり心臓の動きが早い。

『なーあ。聞いてる？』

「き、聞いてる！聞いてます！」

『やからなんで敬語…ってこれは後でええわ。今どこなん？』

「えっと、大学の図書館です」

『大学の図書館？また小説読んでたん？』

「あ、いや、バイトでした！」

『あー、なるほどな。そしたらマップ送っといて。今からそっち行くから』

「え、あ、え！？」

またなー、という重岡くんの声で切れた電話。

急いで自分の位置情報を重岡くんのトーク画面に送信すると、秒で既読がついたから外にあるベンチで待つことにした。

………重岡くんを意識した瞬間、敬語が止まらない。

もうこのまんまずっと敬語を使っていく羽目になりそうだよ。ごめんね、重岡くん。

心の中で謝ってから、やっと少し冷静を取り戻して「あれ？」と考え込む。

「デート、上手くいった報告？それともいかなかった報告…？」

ボーッと月を見上げながら考えていると、30分ぐらいしてから息を上げた重岡くんが到着した。

「重岡くん！？そんな急いで来なくても…」

『いっや、…ハァー、ありえへん…』

ハアハアと肩で息をしながらも溜め息を吐いた。

あ、ありえないとは？え？なんか私やらかした？ちょっと、早速やらかさないでよちゃんとしてよ……。いや、なにをやらかした？

『おんなじ大学やんけ……』

「えっ？！！！」

『通りでいつも近くにおるわけやわ。そら会いやすいわ。…あー、もう』

ええええ、そっか。実は重岡くんと同じ大学だったんだ………。

それでも中で会わなかったってことは重岡くんが違う学部だからかな。文学部だったら会えてそうだもん。

ていうか、真希から「イケメンがおる！」っていう情報を得られそうだし。

っていうか、なんか重岡くん……ムシャクシャしてる？

.