純恋文書（赤） (ページ29)

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もしも、重岡くんの好きな人になりたい。私が重岡くんの好きな人だったら良いのに、と願うのが「好き」という感情なら

「好き……だと思います、重岡くんのこと」

口にした瞬間、じわぁ、と顔や胸辺りに熱を帯び始めた。

あつい、照れくさい、重岡くんの色んな表情や笑顔や仕草と言葉の一つ一つが頭に浮かんで離れない。

菜月「真っ赤すぎでしょ、顔……」

望「え？ほんまに気づくん遅ない？初めて会った俺でもすぐに気づけたで？！」

菜月「これでやっとスタートラインね」

重岡くんが好きだと自覚してしまった以上、スタートラインに立たざるを得ない。

でも、スタートラインに立った時点でゴールが見えてしまっている。

重岡くんと重岡くんの好きな子が肩を並べてゴールで幸せそうに笑い合ってるのに、スタートなんてきれない。

菜月「いい？恋愛に障害は付き物なの」

「は、はい」

菜月「その障害を乗り越えられるか、乗り越えられないかは分からないけど、障害があるから身を引くのはバカだよ」

「ば、ばか？！」

菜月「相手に恋人がいるとか、妻がいるとかだったらまた話は別だけどね？…でも、まずは向き合っていくのが大事」

逃げるぐらいなら一生恋はしないで。

そう言うと、菜月さんは苦笑して小さく「ブーメランだなぁ…」と呟いた。

何が菜月さんにとってブーメランなのかは分からないけれど、菜月さんの言葉に異論はない。

ありがとうございます、と菜月さんにお礼を言うと小瀧さんが「でもさ？」と口を開いた。

望「マキ、最近彼氏とうまくいってないらしいで」

え？………マキ？

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