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いや、いやいやいやいやいや!
恋愛経験のなさがここで響いてきてしまってる。
異性に触れられたことないからって、お父さんやお兄ちゃんにしか触れられた事ないからって
ダメだ。ダメだよ。血が繋がってない異性に触れられたからって、距離が近いからって、ドキドキしたらダメだ。
心の中で必死に頭を振って自分の正気を取り戻す。
『俺の好きな子はミルクティー嫌いなんやけどさ』
ここのは「美味しい!」ってめっちゃ笑顔で飲むねん。
いつの間にか自分の席に座っていた重岡くんは優しく微笑んで口を開いた。
……そっか、「ミルクティーが嫌いな子でも飲める」って話は重岡くんの好きな子のお話か。
そしてきっと、その子の笑顔を今思い返してる。
重岡くんの好きな子はどんな顔をして笑う子なんだろう。ずっと重岡くんを虜にさせてる女の子って、どんだけ可愛いんだろう?
いや、きっと可愛いだけじゃない。性格も満点だ。
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「告白だよ、重岡くん」
『……せやな』
それが出来れば、重岡くんは来る者拒まずで色んな子の想いに応えてなんかいなかった。
だから、そんなん出来るわけないやろって弱音が一つや二つ、五つぐらいはポンポン出てくると思っていたけど……全く出てこない。
「私はまだ恋した事ないから、重岡くんの気持ちを百パーセント理解してあげる事は出来ないけど、」
「でも、出来る事ならなんでもする!恋愛小説でも立派な経験は積めるんだよ」
こんな事言ったら引かれそうだけど、嘘ではない。
恋愛小説のおかげで、私は友人からの恋愛相談に乗る事が出来たし、高校の時はいつの間にかカップルの仲介役にも回っていた。
だから、あながち嘘ではない。
私の恋愛小説の一ページ目を開く前に、作る前に、私は重岡くんの恋愛小説の完結を手助けたい。
『ほんま、お人好しやな』
少し身を乗り出して、私の頭をわしゃわしゃ〜っと撫でる。
擽ったいし、なんだか照れ臭いけど、嫌じゃない。
でもやっぱり擽ったくて、思わず俯く私に笑いかける重岡くんは本当に太陽みたい。
太陽みたいだけど、繊細でどこか儚さがある。
重岡くんのその儚さを作り出したのは、重岡くんの好きな子なのかな。
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作者名:つき | 作成日時:2019年7月22日 19時