56 ページ7
私も彼の背中に手を回す。
照れくさかったのか、彼の体温はいつも以上に熱かった
「ありがとう。...もし抜けられたら景光の傍にいたい」
「その言葉信じるからな」
「そっちこそ、本当は冗談とか言い出したら本当で殺しにいくからね?」
「その言葉が冗談に聞こえない...」
「ふふ、どうでしょう?」
そのあと景光にアジト近くまで送ってもらい、解散した。
自分の部屋に着き、携帯の画面を見て思わず自然と口角があがる。
水族館で思い出として2人での写真を撮ったのだ。
「傍にきてほしい...か」
私は携帯を握りしめたまま、眠りへと落ちていった。
────
何ヶ月か過ぎ、季節も冬に入る前を迎えた。
組織にも特に大きな変化がなく、私も気がづいた頃には22歳を迎えていた
まぁ、歳をとってもなんの楽しみもなければ変わることもない。
と、思っていたが
景光に22歳になったと伝えたところ、なぜか高級なレストランに連れていかれ、プレゼントとしてネックレスまでくれた。
「いや、私なにもしてないのにこんなの貰えないよ...」
「俺が好きでしているだけだ、気にしないでくれ」
真っ赤な顔で告白してきた数ヶ月前が懐かしいくらい、彼は毎回のデートをスマートにリードしてくれる。
「ありがとう」
「あぁ、あと少しの間大切な仕事があってしばらく会えなくなる。すまない」
「それは本業の?」
「あぁ、そうだ。その仕事が無事に終わったら...きっと2人でいられる時間も増えると思う」
「本当?楽しみにしてるね。気をつけて」
いつもより彼の表情が堅かった気がしたが、大事な仕事を控えて緊張しているのだろう位におもい
駅まで送ってくれた彼に手を振った。
アジトに着くとホールに久しい人がいて思わず驚く
「ベルモット!」
「あら、ミモザじゃない。随分と久しぶりね。また一段と綺麗になって」
「ありがとう。任務終わり?」
「まぁそんなとこよ。それより、これは一体どうしたの?」
と、私の首にかかるネックレスを手に取る
「自分へのご褒美に買ったのよ」
「そんな冗談私に通用すると思ってるの?正直にいいなさい、恋人から?」
「もー、恋人はいないって。まぁ、好きな人から...かな」
改めて口に出すとかなり恥ずかしく、最後の方は言葉が濁った。
「あなたもついにいい人が現れたのね。いつまでたっても恋をしないあなたに少し心配してたのよ?」
「何そのお母さん目線」
「お姉さんって言ってほしいわ?まぁ、もう遅いし早く寝なさい」
318人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
iwa(プロフ) - お話惹かれてます。でも、あー救済じゃないのが切ないです。読みふけってますが救済ルートもほしい。 (2019年11月28日 16時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖菓子 - お話大好きです!!好きすぎて夜中まで起きてずっと読んでました!忙しいとは思いますが、お話の続き楽しみに待っています〜! (2019年1月5日 11時) (レス) id: 895cf97eb9 (このIDを非表示/違反報告)
rrrr(プロフ) - 早く続きが見たいです! (2018年9月4日 19時) (レス) id: 4886ac9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アプリコット | 作成日時:2018年8月3日 10時