97 bourbon side ページ48
「はぁ…本当はあの組織のことなんて思い出したくもないし、関わりたくもないんです。ですが、降谷さんの頼みでは仕方ありません。警察病院にいれたら彼女のことを洗いざらい調べられてしまうから、嫌なんですよね?」
「篠原、本当にすまない。お前には昔から頼りっぱなしだな」
「そんな10年も前の話やめてください。彼女はうちで責任もって面倒みます。では、失礼しますね」
篠原はぐーっとコーヒーを飲み干すと、屋上の出口へと向かってしまった。
その背中を見つめていると、いきなり立ち止まりくるっと振り返った。
何だ?と思ってそのまま彼を見ていると
「あ、それと降谷先輩!Aさんの話をしている時、顔に思いっきり好きと出ているので気をつけた方がいいですよ〜、じゃっ」
ニヤッーッと効果音が聞こえてきそうな顔でこちらを見ると、早足に屋上から出ていった。
「…アイツめ」
自分でも顔が熱くなるのを感じるが、そんな表情を今までミモザの前や他の人の前でもしていたのではないかとヒヤヒヤしてくる。
篠原とは部活が同じであり、何度も衝突をしてきた。
だが、それだけ先輩後輩とはまた違った絆もあった。
彼が黒の組織を毛嫌いする理由、Aと共通する部分があるが、彼の親もまた医者であり黒の組織に殺されたのだ。
姉も復讐をすべく、組織員になり死んでいった。
篠原にとっては組織員であった彼女の担当医になることはキツイことであろう、だが警察病院に入れてしまってはAはきっと過去を洗いざらいにされ、刑務所行きになる。
それでは彼女が体を張って組織を抜けた計画が水の泡になる。
そんなことはさせたくなかった。
缶に入ったコーヒーを流し込み、ゴミ箱に向け缶を投げると見事に入った。
「よし、頑張ろう」
自分に気合いをいれ、屋上を後にした。
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iwa(プロフ) - お話惹かれてます。でも、あー救済じゃないのが切ないです。読みふけってますが救済ルートもほしい。 (2019年11月28日 16時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖菓子 - お話大好きです!!好きすぎて夜中まで起きてずっと読んでました!忙しいとは思いますが、お話の続き楽しみに待っています〜! (2019年1月5日 11時) (レス) id: 895cf97eb9 (このIDを非表示/違反報告)
rrrr(プロフ) - 早く続きが見たいです! (2018年9月4日 19時) (レス) id: 4886ac9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アプリコット | 作成日時:2018年8月3日 10時