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「もう少ししたら先生が来てくれるらしい。そうしたらもう一度よく診てもらえ。」
「えぇ、わかったわ」
「…何かあったか?」
「なんで?」
「いつもより顔が暗い気がする」
そう言い降谷さんは私の顔を覗き込む
この人はわざとやっているのだろうか?
「…ッ、き、気のせいじゃない?少し疲れたのかも、心配ありがとう」
自分が熱くなるのが分かるが、これこそ気のせい気のせい
「…どういたしまして。けど、もし本当に悩んでることあるならいつでも言ってくれ。それじゃ」
彼はそう言うと病室から出ていった。
「調子狂うなぁ…」
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________2週間後
「あれ…Aさんですか?」
「あ、風見さん!こんにちは〜ご無沙汰ですね」
「こんにちは…あ、これ頼まれていたものです」
風見さんは私にA4ほどの大きさの封筒を渡してきた
「頼んでいたやつですか?別に急いでいないのにわざわざありがとうございます。降谷さんには?」
「いえいえ、この付近に用があったのでお気になさらず。もちろん降谷さんには気づかれてませんよ。…ところで、1人でもう歩かれても大丈夫なんですか?まだ安静にしていないといけないのでは…?」
風見さんが疑問に思うのもそうだろう。
2週間前まで体を動かせず寝たきりだったくせに、支えもなしに1人で病院内を歩き回っていることが心配なのだろう
「あはは、ご心配なく。治りが早いもので、先生から無理しない範囲なら自由に動いていいと言われているんです」
「そうだったんですか…降谷さんにAさんの調子はどうか尋ねてもいつも"元気にしている"としか言わないもので」
うわぁ風見さん完全に適当にあしらわれてる〜
風見さんに少し同情したが、院内の時計が目に入り、診察の時間が迫っていることに気がつく
「あ、やばい。そろそろ私病室に戻りますね!」
「引き止めてしまいすみません。次お会いする時は、Aさんが完全に治っていることを楽しみにしていますね」
風見さんに手を振り別れると、私は廊下をダッシュした(※良い子は真似してはいけません)
慌てて病室に入ると、中にはまだ誰もおらず
安堵のため息をついた時だ
「Aさん、廊下は走らないでください。と私に何回言われれば理解してくれるのですか?」
後ろを振り向くと、目が全く笑っていないのに薄ら笑みを浮かべた私の担当医、篠原先生が立っていた。
「えーと、私そんなにバタバタと音を立てて走ってましたか?」
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iwa(プロフ) - お話惹かれてます。でも、あー救済じゃないのが切ないです。読みふけってますが救済ルートもほしい。 (2019年11月28日 16時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖菓子 - お話大好きです!!好きすぎて夜中まで起きてずっと読んでました!忙しいとは思いますが、お話の続き楽しみに待っています〜! (2019年1月5日 11時) (レス) id: 895cf97eb9 (このIDを非表示/違反報告)
rrrr(プロフ) - 早く続きが見たいです! (2018年9月4日 19時) (レス) id: 4886ac9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アプリコット | 作成日時:2018年8月3日 10時