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銃声音が私を現実に戻させた。
あぁ、間に合わなかったのだと
屋上へとやっと辿り着き、私はその現場を見て座り込む。
バーボンもそれを見て息を飲み込んだのが分かった。
「裏切りには...制裁をもって答える...だったよな?」
ライはゆっくりとこちらを振り返り、そう私たちに言い放った。
目の前には拳銃でスコッチを撃った光景が広がっていた。
バーボンは壁際に血を流して座り込むスコッチの元へ駆け寄り
「おい、スコッチ!?しっかりしろスコッチ!!!スコッチ!!」
と、心臓音を確かめたりと目の前の光景が受け入れられていないようだった。
普通は受け入れられないだろう。
私だって本当は受け入れたくない。
けれど、スコッチ。彼はアニメでも漫画でも"自決"する運命だったのだ。
「くそっ!!」
バーボンの声が静かな屋上に響く
「心臓の鼓動を聞いても無駄だ...死んでるよ。拳銃で心臓を...ブチ抜いてやったからな」
バーボンはライを睨みつける。
「ライ...貴様...」
「聞いてないのか?そいつは日本の公安の犬だぞ。残念なのは、奴の胸ポケットに入った携帯ごとブチ抜いてしまったこと...お陰でそいつの身元はわからずじまい、幽霊を殺したようで気味が悪いぜ」
ライはそう言うと、バーボンに背を向け私の方へとくる。
バーボンの表情を見ると、悔しさや怒りに満ちた顔を浮かべており、彼の気持ちが理解出来た。
けれど、ライはバーボンのことを思ってこのセリフを言っているのだ。
私はそれを知っているからこそ、スコッチが死んだ今複雑な気持ちで満ちていた。
そして、ライは私の元まで来ると
「スコッチを守れなくてすまない。」
とバーボンに気づかれないよう私に告げ、去っていった。
私は立ち上がり、スコッチの元まで行く。
バーボンは悔しさや怒りの気持ちを吐き出せないのか、スコッチにしがみついていた。
私はスコッチの傍にしゃがむと、彼の顔へ手を伸ばす。
胸元は赤く血で染まっているが、顔は綺麗なままでまるで眠っているようだ。
「間に合わなくてごめんなさい。私のために...ありがとう。私も好きよ」
そして、彼の瞼にキスをした。
もう目を覚まさない彼に言っても無駄かもしれないが、私はこの気持ちを出さなくては次に進めないと思い、ここに置いていこうと思った。
そして、横にいるバーボンの手を握る。
彼は驚いたように私を見た
「バーボン...私に力を貸して」
「...きっと考えは同じですね。最後まで付き合うよ」
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iwa(プロフ) - お話惹かれてます。でも、あー救済じゃないのが切ないです。読みふけってますが救済ルートもほしい。 (2019年11月28日 16時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖菓子 - お話大好きです!!好きすぎて夜中まで起きてずっと読んでました!忙しいとは思いますが、お話の続き楽しみに待っています〜! (2019年1月5日 11時) (レス) id: 895cf97eb9 (このIDを非表示/違反報告)
rrrr(プロフ) - 早く続きが見たいです! (2018年9月4日 19時) (レス) id: 4886ac9ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アプリコット | 作成日時:2018年8月3日 10時