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『もーくん、私ね、許可もらってきたよ!』


「本当!?」


『うん!』


「じゃあ今から行こ!!!」


『え!?い、今!?』


「ほら!行くよ!!」


『ちょ、あんまり走ると、あたし体力ないから』


「大丈夫!俺が手引っ張ってくから!!」





っ!!こんなに速く走れるんだ。

走るってこんなに速いんだ。



『も、もーくん!!ちょ、ちょっと、止まって!!!』


「おっとと、どうした!?大丈夫!?怪我した!?」


『ううん、そうじゃなくて、ただ疲れたからちょっと歩きたいなって』


「あ、ごめん。飛ばしすぎた」


『大丈夫!あたしあんなに速く走ったことなかったからすごいかった!!何かね!風がビュン!!ってきて、スサササって感じで!!!』


「落ち着いて落ち着いて(汗)」



『楽しかった!!あたしまともに馬にも乗ったことなかったから、馬に乗ったらもっと速いんだろうなって!!あ、もちろん、父上のに乗せてもらったことはあるよ!?でもあたしのためにゆっくりめに走ってくれたから、本気で走ったらすごいだろうなって!!』


「っ!!お、俺が!大きくなったら俺が馬に乗せてあげる!!馬を本気で走らせてあげるよ!!」


『え!?本当!?ありがとう!!約束ね!』


「うん、約束」




その日に交わした小さな約束。

小指を絡めた。

体が弱いあたしは大人になることが死に直結すると思って恐れていた。


でも、あの日あの時、初めて、早く大人になりたいと思った。



















そんな昔の思い出を寝床で横になりながら思い出していた。感傷に浸るのも悪くないな。






『あれからあたしは何も変わらず病弱なまま。起き上がるのも苦になってきたし、、、。あたしそろそろ死ぬんだわ〜』






独り言。最近は独り言が多くなった。もしかしたら、あの時の彼が、どこかで聞いているかもしてないと思って


淡い期待に胸を躍らせながらまた絵を描く。



『あれ?墨がない。取りに行かないと』



墨がなかった。一番奥の部屋から墨を取ってこないと。


あ、ちなみに寝っ転がりながら絵を描いてます。座っているのが辛いから。



『痛っ、、。よっこい、っと』


なんとか起き上がれた。あとは、立って歩くだけ、、、
勢いで行くか。


『せーのっ!うっ!!』


あーやばい、目眩が、、、。


バタン!!!!



「今の音って、、姫様、、?姫様!?姫様ー!!!」


バンッ!!!!


「姫様!!大丈夫で、、、姫様!?」

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作者名:アオイ | 作成日時:2022年6月26日 8時

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