鬼殺隊七不思議七番目 ２

才思 ページ39

炭治郎side

無惨に吹き飛ばされ無限城の壁にのめり込んだ

『ガハッッ』

背骨を思いっきりぶつけたようで上手く呼吸が
できない。全身の神経を研ぎ澄ませて呼吸を少しずつ
整えてゆく

……落ち着いてきた。戦場を見ようとしてちらりと
横を見るとしのぶさんたちがこっちに走ってくるのが目に入る

無事だったんだな！よかった……

しのぶさんが俺の無惨にやられた傷を簡易包帯で巻いてくれているのを見ていたら突然しのぶさんが無惨の方に視線をやり、大きく目を見開いたと思ったら大粒の涙を流した

それと同時に鉄臭い………大量の血の臭いが鼻に届く

もしや、もしや、と最悪な事態が頭をよぎる

臭いに導かれるようにしのぶさんの視線の先を見ると



一面が


赤


紅


朱


血に塗れ、首が切れた無惨と肺あたりに無惨の腕がずぶりと刺さったAさんがいた

『ぇあぁ、がぁ、ぁあ"、、』

自分でもよく分からない声にならない悲鳴が勝手に
喉から出てくる


なんなんだ、俺は何を見せられている
こんなのみたくない、みたくない、みたくない！！


ドバッ


Aさんの口から致死量以上の血が出てくる
血の一粒一粒が地面に落ちるのを感じる。
Aさんの命が散っていくのを感じる。


「A!!」


しのぶさんのつんざくような悲鳴にハッとし
慌ててAさんのところに向かう。

床にくたりと血の気がないまま横たわるAさんは
呼吸音も途切れ途切れにしか聞こえない
心拍数も段々と遅くなっていく

俺の怪我なんてどうでもいい。
お願いだ、お願いだ、あの人を、Aさんを
生かしてくれ。神様。神様。神様。どうか。どうか。

願っても願ってもAさんの顔色一つ良くならない
しのぶさんが懸命に止血をしているが出血が多すぎるらしく上手くいかない

俺もAさんの止血を手伝うが病状は悪化していく一方だ。


Aさんの腕はこんなに細かったんだ
Aさんの目蓋の下にはこんなに隈があったんま
Aさんの手はこんなに小さかったんだ
Aさんはこんな小さな口で俺に言葉をかけてくれ
ていたんだ

願えば願うほどAさんの事が、思い出が頭を巡る

なんで、幸せが壊れる時はいつも血の匂いがするんだ
なんで、血の匂いは俺から大切なものを拐っていくんだ

『Aさん！起きて、起きてください！！』

必死に呼びかける。

お願いだ。これ以上俺から大切な人を取らないでくれ

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