鬼殺隊七不思議七番目 ２

零れ落ちる朱肉 ページ3

宇髄side

勝った。俺たちは上弦の陸に勝ったんだ。
朝日を浴びながら嫁達と抱き合えることに
喜びを感じる。暖かくて涙が出そうだ

ふと、嫁達から視線を外すと
いつもより青白い顔で路地裏に駆け込んでいく
時守が目に入った。

もしかして、まだ鬼が居たのかもしれない。
そう思い、嫁達に瓦礫の中で寝ている
三人の介抱を頼み俺は一人、路地裏に向かった。









路地裏に近づいていくと
"コホッッ！ゴボッ！！"と微かに誰かが咳き込む声が
聞こえてきた。十中八九、時守だろう
ずっと、夜中外で戦闘をしていたから風邪でも
引いたのかもしれない
心配になって急ぎ足で向かうと




　 予想は大きく悪い方に外れた




路地裏で俺に背中を見せながら
呆然と立っている時守を見つけ

『どうしたんだ？時守。何かあったのか？』

と、声をかけたら
時守が伏せがちな目を最大限に開き、振り返った





その時、俺の視界に入った時守は

戦闘でも返り血一つでも付くことがなかった
真っ白な生地に、時守の口から吐き出された
朱肉のような真っ赤な血が彼岸花のように
咲いている着物に身を包んだ姿だった

自分の体温が一、二度下がる感覚だ
手にはよく分からない汗がびっしりとつたっている


俺は時守に
"なんで体調悪いことを言わなかったんだ！"
と叱りたい気持ちを抑えつつ冷静に質問した


『まず、大丈夫か？』

時守は首を縦に振った
これは嘘だな。血を吐いていて大丈夫な訳がない

『声が出せないのか？』

今度も首を縦に振った恐らく胃か何処かが切れ、
激痛で声が出せないのだろう

『ソレは、戦闘によるものか？それとも持病による
ものか？戦闘だったら一回頷け
持病だったら手で丸を作ってくれ
因みに俺は、本当か嘘か分かるぞ。』

時守は少し迷った後。手で小さく丸を作った
これは、本当だな。まさか持病持ちだったなんて

『この事は、胡蝶やお館様は知っているのか？』

ふるふると首を横に振る。
コイツっ、なんで報告しないんだ！！
この事を胡蝶が知ったら、何も言わずにベッドに
括り付けられるぞ。お館様も笑顔を浮かべながら
当分、時守が動く事を禁止するだろう。。

『最後だ。薬は持っているのか？』

またふるふると横に首を振る。
なんなんだコイツは。どこまで俺を不安にさせれば
気が済むんだ。






"ちょっと待ってろ"と時守に声をかけ、
薬のはいった水を嫁達にもらうために来た道を戻った

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