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「……」
「……」
鬱さんを牢屋にぶち込んだ後、隠し部屋に戻るとAさんが無言で椅子に座っていた
話があるのかと思って正面に座ったが、Aさんが口を開く様子はない
そのまま二人とも黙り込み、沈黙が流れる
「…あの、なんでお父さんのところに行かなかったんですか？…ずっと、会いたがってたのに」
あまりの静けさに耐え切れなくなり、静かな声色でそう漏らす
Aさんは一瞬ぐっと唇を噛んだ後、ゆっくりと口を開いた
「会いたかった、けど…、ショッピさんを置いていけませんでした」
「…それは、なんで」
「だって、私を助けてくれたのはショッピさんだから……」
「…本当に俺がAさんを助ける気があったなら、あそこでお父さんにAさんを返して逃がしてましたよ」
「それは、ショッピさんも所長の言いなりで外に出れないって言ってたから…」
「…出られますよ」
「……え？」
出られますよ、と繰り返すと訳が分からないといった表情を浮かべるAさん
「あれ、嘘です。…外に通じる扉の鍵ももってますし、逃がそうと思えばいつでも逃がしてあげられました」
「ねぇ、Aさん。…騙されてたんですよ。俺は最初から助けるつもりなんてなかった。…俺の目的は、貴方をここに閉じ込めること。俺に依存させて、俺しか見えないようにすること。…それだけです」
こんなことを言ったら引かれるだろうな、なんて頭の片隅でぼーっと考える
まぁいいか、嫌われたら嫌われたで、その時は以前のように淡々と囚人を葬る看守に戻るだけ
毎日が孤独だった、あの時に戻るだけ。
俺の言葉を聞いてしばらく黙っていたAさんは、「それでも、」と口を開く
「私はここに来て救われた。…楽園にいた時は、毎日嫌がらせをされて、所長にも変なことされて、本当に辛かった。…けど、あの日ショッピさんに連れ出してもらってから、その生活が変わった」
「ショッピさん、貴方がどんな理由で私を助けてくれたのかなんてどうでもいいんです。私は、貴方に救われた」
「それに、何日か前にショッピさんが泣いていた時。…誰かを思って泣いていることぐらい、すぐわかりました。心が汚れている人間は、あんな風には泣けません」
だから、ショッピさんは悪い人じゃないです。
そう言って微笑むAさん
「…とんだお人好しじゃないですか」
「それは、お互い様でしょう？」
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かなで(プロフ) - こういう胸糞悪い話大好きなんです。めったに見たいので、とても面白かったです！ (2020年8月14日 19時) (
レス) id: 16beea5def (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 桜華さん» ありがとうございます！そういう感情にさせるのが目的（?）だったので嬉しいです！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 1さん» ありがとうございます！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 外ピさん» 辛かったですか、ありがとうございました！wこちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - モブＡさん» ありがとうございます！そう言っていただき嬉しいです、ありがとうございました！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音羽リン
| 作成日時：2020年4月20日 13時
