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結局その後、鬱さんを孤児院に案内し
いるはずもないAさんを一通り探した後、鬱さんは「また来ます」と言って去っていった
まぁAさんは俺の部屋にいるのだから、見つからなくて当然だろう。
鬱さんを見送った後、コネシマさんと二人で客間の片づけをする
と言ってもほとんどやることがないので、テーブルを拭いているだけなのだが。
適当に布を滑らせていると、いきなり背後からガシャンと何かが壊れる音がした
「ちょ、何やってんすかコネシマさん！」
驚いて後ろを振り返ると、水をかえようとしていたのか、コネシマさんの足元に割れた花瓶の破片が散らかっていた
軍服で全身を覆っているため怪我をしているということはなさそうだが、らしくないコネシマさんの行動に慌てて駆け寄る
「とりあえず清掃員呼んで片付けてもらいましょ…あとは、破片が刺さってるかもしれないのでその服は変えたほうがいいですね」
そう言って内線で清掃員を呼ぶ
すぐに着きます、との返事を受けて内線を切ったとき、不意に「なぁ」とコネシマさんに話しかけられた
「…お前、俺に隠し事してるやろ」
「…え？」
さっと体内に冷たい何かが走る
表情を変えてはいけない、そう思い必死にポーカーフェイスを貫いた
「別にええねん、お前が隠し事でも何でもしても。…やけどな」
動けない俺に、すっと音を立てずに近寄ってくるコネシマさん
俺の正面に立ったコネシマさんは、冷たい空色の瞳で俺を見下ろした
「…裏切ったら、許さへんで。あの日、お前を助けて生きる術を与えたんは俺や。…裏切れるわけ、ないよな？」
「…、はい」
小さくそう呟くのが精一杯だった俺は、まともにコネシマさんの目を見ることができなかった
「この収容所に入った者は、二度と外に出られない。…やけどな、それが囚人だけやと思ったら大間違いやで」
「この
その時、俺は本能的に悟った
この人からは逃れられない…ここにいる限り、俺の命はこの人が管理しているも同然だ、と。
俺は捕食者じゃない……人より良い権利を手に入れた、他の囚人と同じ被食者なのだと。
…そして、俺自身も二度とここから出ることができない、と。
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かなで(プロフ) - こういう胸糞悪い話大好きなんです。めったに見たいので、とても面白かったです！ (2020年8月14日 19時) (
レス) id: 16beea5def (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 桜華さん» ありがとうございます！そういう感情にさせるのが目的（?）だったので嬉しいです！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 1さん» ありがとうございます！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 外ピさん» 辛かったですか、ありがとうございました！wこちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - モブＡさん» ありがとうございます！そう言っていただき嬉しいです、ありがとうございました！！ (2020年5月7日 21時) (レス) id: b323697e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音羽リン
| 作成日時：2020年4月20日 13時
