キヨハルbirthday ページ14
in9区アジト
桃｢ぱぁ！！！！｣
紫｢うぎゃぁぁぁあああ！？｣
桃｢あっはははは｣
紫｢もう、なに、、？｣
アジトに奇声と悲鳴、笑い声が響く。奇声と笑い声の主はコタロウで、悲鳴の主はキヨハルである。胸の辺りに手を置いて、虫の息と言ったところだろうか。
紫｢何なん今日……？みんな驚かしに来るやん、、｣
今日驚かされたのはこれが初めてではない。朝一番にミナトに風船を顔の近くで割られて飛び起き、顔を洗おうと向かった洗面所でリョウガにパイ投げをされ、結局風呂に入って部屋に戻れば押し入れからサツキが飛び出してきた。そして今、コタロウの奇声である。
紫｢1番こういうのやらせたら怖いボスが何も無いってのが逆に怖いんやけど……｣
ブツブツと呟きながらリビングに向かう。向かったものの、リビングの扉の前で少し考え込んでしまう。
紫｢今までの流れを考えたら、ここでなんかあるよな？はぁ〜……いやぁ……｣
青｢何してんの｣
｢うあ゛あ゛あ゛ぁ！？｣
青｢いや、うるっさ｣
考え込んだ結果、全くケイイチロウに気付かなかったキヨハル。あまりの叫び声にケイイチロウは顔を顰めた。
紫｢あ、ボス……｣
青｢うん、何してんの？｣
紫｢いや、なんかあるのかな〜って｣
青｢は？何それ｣
紫｢ボス先に入ってくれない？｣
青｢いいけど…｣
ケイイチロウは臆することなく扉を開け、数歩部屋に進む。何？とでも言いたげにキヨハルを振り返る。
紫｢あ、何もないんや……｣
青｢良いから早く入れば？｣
紫｢そやな……｣
この時、ケイイチロウの口角がほんの少しだけ上がったのに気付いた人は居たのだろうか。いや、居たとしても、それがキヨハルでなければいい話であった。
桃・緑・赤・黄
｢Happybirthday!!!!｣
紫｢うわぁ！？｣
クラッカーの弾ける音と共に、紙吹雪やなんやらが部屋に舞う。
青｢キヨハル引っかかってやーんの｣
桃｢いやぁ、油断したでしょ〜｣
緑｢ボスが自然すぎるんよな｣
赤｢マジであれは見抜けないわ｣
黄｢キヨハル、おめでとうー！｣
目をまん丸にしているキヨハルに、思い思いの言葉をかける5人。
紫｢もー、なんやねんっ！｣
そう大声を出すキヨハルだったが、その顔が笑顔で溢れていたのは紛れもなく嬉しさからだろう。
紫｢ありがとぉ、みんな｣
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作者名：珠乃 | 作成日時：2021年5月4日 19時
