エースギルド (日常)

8.シュカ・ベノンマーゼ(Nuu.) ページ9

「なぁんで仕事終わりに戦うんだか、ねえギルド長」


シュカ、という可愛い女性がギルド長に話しかける。彼女は酒に強いほうで、あの人ころしLOVEな彼とは違う。

皆若いんだよ、そうギルド長は答える。いやあんたも若いでしょ。ついツッコミを入れてしまった。でも彼は気にする素振りもなく、笑いながら飲み物とお菓子を彼女に差し出した。



一応言っておくが、彼女は今酒を飲んでいないし、そもそも彼女ではなく彼だ。ほろ酔いの女性ほど見ていて面白いものはない、と思っていた人には残念な話だが。


その貰ったお菓子を食べながら先程の墓地での光景を思い出す。シュカも色々あって自分の兄の所まで行ってたのだ。兄は隣町に居るので森を抜けるのがめんどくさかった。なんか人に絡まれるわ虫に刺されるわ……いつものことだが思い出すのも嫌になる。

やっと森を抜けた、なんか墓地辺りが気になる、ええ……なんか居る、シュカは最後の最後まで嫌な気分で帰ってきた。それはそれは他の人がパッと見不機嫌そうだと分かるぐらい眉間にシワが寄ってたとか。

だからお菓子を……今はもうパッと見不機嫌そうでは無かった。

「……トム、おかわり」

「ふふっ、ギルド長ですよっ」


「……女子力の高いギルド長、おかわりください」

今度はギルド長の女子力が気になるらしい。


そして、誰もがほっといてるであろう墓地のゾンビ達とスケルトン達の討伐依頼が来るのは、もう少し暗くなってからだった。

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