Eye ページ2
柔らかい茶色に染めた髪は今まででいちばん可愛く巻けていて
新しく買ったコーラルピンクのグロスは肌によく似合う
「行ってきます」
まだ足に馴染まない靴には違和感を感じるけど
今日はなんだかいい事がありそうな予感がする
いつもより早く来たバスに揺られながら、未だに新鮮な通学路を横目に流す
「お?もう始まってるって！」
「え!行こ!」
バスから降りると後ろに乗っていた女の子達が横を早歩きで通り過ぎていく
何が始まるって?
時間を気にしながら歩く女の子たちにつられるように私も動く足が早くなる
バス停から校舎へ途中、文化祭などで使う野外の小さなステージに何やら人だかりが出来ていた
集まっているのは女の子が大半で、隣の建物の2階から男の子がちらほら、窓を乗り上げてなにか叫んでいた
気になって少し歩くスピードが落ちていた時
突然音楽が聞こえてきた
今流行りのアイドルの曲
確か、結構踊りが激しいアップテンポな曲
するとステージ袖から10人ほどの人が出てきてポジションに立った
悲鳴のような歓声が上がり思わず肩が飛び跳ねる
そして彼らはその音楽に合わせて踊り始めた
今気づいたけど、彼らはこの大学で人気のダンスサークルの人達だった
ダンスは上手で全員かっこいいと
この辺で有名で他の大学にもファンがいるらしい
それもそうだろう、彼らのダンスは息がピッタリ揃っていて思わず足を止めて見とれていた
三分ほどの曲もラストスパートになる中、人一倍歓声が上がった
その人のダンスは力強くて綺麗で
初めて王子様を見た気がした
そのあと2曲ほど披露し、ステージは終わり
歓声を上げていた女の子達も次のコマに遅れないよう、一斉に解散して何も無かったかのように先程の人だかりはなくなってしまった
私も授業に遅れないようしないと!
早くなる足とは裏腹に、頭の中にはゆっくりと踊る彼の姿が浮かんでいた
すごく素敵だったな
名前はなんて言うんだろう
この時にはもう彼の事しか考えられなくなっていた
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作者名：Ari | 作成日時：2023年12月22日 1時
