♪リクエスト制 鬼滅の刃 曲パロ♪

続き ページ9

「ふつつか者ですが…よろしくお願いします」


「僕の方こそよろしくお願いします。Aさんと呼びますね」


相手の方はとても紳士な男性だった。優しそうだし、しっかりしている
何歳か上の歳で頼りがいもありそうだ


まだ結婚はしないが、結婚前提でということだった


こんな人に不純な気持ちを持ったまま接していいのだろうか。後ろめたさを感じ、俯く

紅茶を淹れていても、掃除をしていても、料理をしていても
浮かんでくるのは善逸ばかり。

もう会えないんだと実感し、胸が締め付けられる


●


列車を乗り継いで街につく。
以前聞いたAちゃんの実家はこの街だったはずだ


走り回る。見掛けた人にAちゃんのことを聞いたりして、手掛かりを探した

人のことを想えば自然と体が動いていた。


会いたいよ、今すぐ


「あら、懐かしいわねAちゃんなんて。家はすぐそこよ」

角を曲がった先にどーん、と大きな家が待ち構えていた。
圧力に押されながらその家の戸を叩く


奥から怪訝そうに出て来たのは、目元がAちゃんとそっくりな女性だった

俺を見た途端変に顔を歪ませた


きっと、傍から見れば俺は不審者なんだろう
こんな髪の色を見て、不審に思わない人なんて…居ない


『いいね、善逸の髪の毛の色。綺麗な色だね』


最近までそう俺の全部受け止めて、隣で笑ってくれてたAちゃんが。

一人で悩んでたんだろうな


「Aちゃんは、何処ですか」


「ここには居ません、では…」


きっぱりと断るように言うと女性は戸を閉めようとした。

沸々と悲しみが湧いて出てくる


「俺の、大事な…人なんです」


縋るようにそう言うと、俺は歯を食いしばる。泣いちゃいそうだ



「…今日、結婚相手の方の家に出て行きました。
まだ結婚はしてませんが、いずれ…」

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