翠《Aぇ！》 (ページ3)

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紫青　＊ページ3

青.》

夜も更けてきてもう12時。
LINEを送っても、電話をかけても反応は無い。

今日飲みに行くとか言うてたか？？
いや、俺知らんで？ご飯とかお風呂用意したのに…

全く振動しない自分のスマホをベッドに放り、
諦めて毛布に潜り込む。

ガチャ

そろそろ瞼が開かなくなってきた頃
ドアノブが回される音で目が冴えてしまう。

仕方ないので玄関へと向かう。

小「…ただいま。」

正「ただいまちゃうわ、何してたんよ」

小「いや、ちょっと散歩」

あっけらかんと言うその姿に無性に腹が立って

正「なあ、いっつも俺に何にも言わへんやん。今日やって、ご飯もお風呂も全部準備して待ってたんやで？やのに帰ってこおへんし、電話もLINEも見いひんし。俺のこと、何でもしてくれる家政婦さんや思てるんちゃいますん？」

小「そんなん思ってへんって」

自分の苛立ちは止まらない。

正「やから最近ダンスも誠也くんとかとぶつかってミスしたり、勝手に一人で行動してスタッフさんとかメンバー皆んなに迷惑かけてるんやんか」

あ、

あかん、やってもうた

小「…ごめん」

正「あ、いや、ちゃう俺が言い過ぎた」

小「俺がメンバーに迷惑かけてるんはほんまや
おれ、ちょっと冷静になってくるわ」

正「どこ行くんよ、今もう12時過ぎやで？」

小「まっさん先寝といて」

こちらを一切振り向かず、鍵だけを持って出ていく。

バタン

正「っはぁーー………」

これはやってしまった。

そりゃあ、連絡してくれへんこじけんもあかんとは思うけど、けど言っていいことと悪いことはある。

最近、スタッフさんや振付師さんに目をつけられて
幾度となく怒られているのは目にしていた。

その度に、悔しそうで辛そうで申し訳ない表情を浮かべて「もう一度お願いします！」と謝る。

いつもは元気すぎて楽屋でも騒がしいあいつが
今思い返せば、全く笑顔を見せてへんような気がする。

10分ほど経ってふと窓の外を見ると、雨。

え、これいつから降ってたんや

静かな雨はものの一瞬で叩きつけるような激しい雨へと変わっていく。

傘立てには全部の傘が律儀に並んでいる。

はよ探しに行かな、風邪ひくやつやんか…
　

慌てて鍵とスマホを掴み、夜の町へ走り出す。