沖田総悟が五人 ページ6
「――――さっきの子?」
ああ、言ってしまった。
こんなこと言っても困らせるだけかもしれないのに。私が、傷付くだけなのに。
沖田は目を開き固まった。でもまた、いつものようなあの黒い笑顔に戻って。
「さっきのチャイナですかい?あいつはいいや。俺と対等にやり合えるし、顔もまぁ、世間はかわいいって言うんじゃないですかィ?」
相手の有無を聞く前に相手について語りだす沖田。
こんな沖田初めて見た、と長年一緒にいるから分かった。だからこそ、やっぱり辛かった
(あ、だめだ。涙出そう)
今までこんなの知らなかった。
人の想いがすれ違うのはこんなにも残酷なんだ。
人を好きになるって、悲しいことなんだ。
俯いて、涙が出るのを必死に抑えた。
沖田は、揺るがない愛を持っていた。
ずっと知っていた。土方が姉上に恋心を寄せていると、姉上が土方に恋心を寄せていると分かったときから、…お前が、俺の前に現れたときから。
人の想いが交わるのは、こんなにも幸せなことなんだ。
人を好きになるのは、幸せなことなんだ。
「A?」
やめて。その優しい声で私の名前を呼ばないで
溢れ出した涙も気にせずバッと顔を上げた。
「総悟が離れるのは嫌っ!!!!!」
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作者名:うさぎ | 作成日時:2024年1月24日 19時