33、男士の過去 ページ33
数時間後
なんだか落ち着かず、起きてしまった。
あれ、布団がかかってる？
目の前には小夜君、
そういえば布団で転がってて
そのまま寝てしまったことを思い出す。
起こさないよう
そっと寝返りをうち仰向けになり
ふと左を向くと、宗三お兄さんがいる。
「！？」
叫びそうになった私の口を
宗三お兄さんの手によって塞がれた。
宗「起きてしまいましたか………」
「はい…ってあの…
すみません勝手に…」
宗「何を謝る事があるんですか…
むしろ貴方には感謝です」
「え？」
宗「お小夜は
血と怨念にまみれた
復讐劇の為に見出された刀………
辛い過去を持っているのです」
返す言葉がなかった
辛い過去を持った刀が…刀剣がいるんだ、
人間では無いけど、
みんな人間みたいに感情があるんだ…
他にも色んな過去を持った
刀剣達がいるのかな。
懸命に人の形をして
付喪神として
こうして生きているんだ…
宗「でも…貴方が来たばかりで…
まだぎこちないですが、
久しぶりに微笑み。
今日は寝顔もいつもより穏やかです…
悪夢も見ていないようで
穏やかに眠れています。
これからも良ければ、
お小夜を気にしてやってください……」
「私なんかで良ければ…
仲良くさせてください…」
さっきの話を聞いたら
自然と涙が出てしまった。
宗三お兄さんは気付いて
優しく涙を拭ってくれる。
宗「人の事で涙を流すなんて…
なかなか出来る事ではありませんよ」
その分この子は
自分の事では涙を流せず。
全部抱え込んでしまう子なのだろう。
まだ笑顔も見せないで
まるで記憶を失った少女のよう………
早く笑顔にさせてやりたい
兄心がくすぐられカナデを撫でた。
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作者名：小桜華撫 | 作成日時：2020年4月24日 0時
