3話 ページ4
「弁解は?」
私はリビングの炬燵に入ると、もう一度衛宮に問うた。
「一応聞いてくれるなんて、Aちゃんは優しい子だなぁ〜! あはは、あはは!」
「大河酔いすぎ。で、何か理由があるなら話してみろよ。な?」
私は片方の眉を上げ乍ら言った。
衛宮は忙しなく台所へ行くと何やら準備を始めていて、話すどころでないらしい。
その間に桜がリビングにいる者達について、説明をしてくれた。
「えっと……そちらの金髪の方がセイバーさん、肌が黒い方がアーチャーさん、黒髪の二つ結びの方が遠坂凛さん、その隣の青い髪の方がランサーさん」
桜は反対を向き直り、隣から説明していった。
「こちらの子がイリヤさん、眼鏡をかけた女性がライダーさん、そして兄さん……間桐慎二さんと藤村大河さん。あとは私と先輩です。すみません一気に紹介してしまって」
「否、いいよ。寧ろ其方の方が覚えやすい」
私はオレンジジュースを啜った。
去年のクリスマスといえば、私、桜、士郎、大河の四人しか居なかったのに、今年は随分と人が多くなった。
私は顔は明るく保ちながらも、周囲を警戒していた。
「でもまあ、随分とへんてこりんな名前ですね。ランサーやライダー。セイバーはまだ分かりますが、アーチャーは流石に外人だとしても可笑しいと思いますが……」
じろりと舐めるように顔を見回すと、僅かながら顔が強ばったのが確認できた。
――やはり、偽名か。ならこいつらは何者だ?
私は思考を働かせ考えた。
自分の担当しているマフィアの類でも、ましてや特務課の人間ではないはず。
否、先ず異能力を持っているのか?
その時、背後から気配がした。
途端に私は思考を切り替えそちらの方に神経を向ける。
彼らも私の徒ならぬ雰囲気を読み取ったらしい。常人にはわからない、こちら側の世界の人間が気づく極わずかな変化を見せた。
――やっぱり。
私は持っていたグラスを置き、後ろの襖へ向いた。
「出てきても平気ですよ。特務化の新人エージェントさん」
私のカラカラした声が騒がしいリビングを一瞬で静まらせた。
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作者名:枯穂 | 作成日時:2018年11月12日 21時