世界一ワガママな男の元カノ【トリリオンゲーム】 (ページ6)

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『なるほど。大体の事情は分かった』

取り敢えず話だけでも聞いて欲しいと言われ、聞いてあげたけど…話しがぶっ飛びすぎてる。

彼は友達との起業の為に内定を蹴って、ドラゴンバンクを会社丸ごと手に入れると喧嘩を売ったにも関わらず、喧嘩相手に起業の為の出資をお願いしに行ったら理不尽な条件を突き出されたらしい。
……そりゃそうだ。

『巻き込まれたそのお友達可哀想』
「あいつ結構乗り気だったぜ」
『それあなたの思い込みよ。絶対今頃一人で頭抱えてるわよ』

それはそれで見てみたいと悪い顔する最低な元カレ。

『てか、一緒に1兆ドル稼ごうぜって本当は出資してもらうのが目的でしょ？』
「あ、バレた？」
『バレバレよ。出資も一緒に働くのも却下。もうあなたに振り回されるのは懲り懲りよ。諦めて』

キツく突き放すように言ったけど…あまり期待は出来ない。

私の言葉を聞いた彼ニヤッと笑い、私の目を見てこう言った。

「それは無理。

一度欲しいと思ったら手に入れるまで気が済まないの知ってるでしょ？」

「俺はAから良い返事が聞けるまで何度でも口説くから、覚悟してな」
『え…』

これはつまり、私がOKを出すまで私に付きまとうってことよね？

「嫌そうな顔、ウケる」

ケラケラと笑う元カレに、「帰って」と懇願する。

別れてからもこうやって頭を抱えさせられることに我ながら気の毒に思うのと同時に天王寺陽という人物と出会ってしまったことを後悔した。