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『本日はありがとうございました。失礼いたします』
パタンと扉が閉じたのを確認し壁に凭れる。
『ふぅ…』
これで一通りバカ親父が勝手にエントリーした企業の選考は全て終わった。後は各社結果次第ではお断りの連絡を入れるだけ。
スマホを取り出してドライバーに終わったと連絡する。
その時、誰かが目の前を歩いていった。
何気なしに扉の方へ視線を向ける。直後、私は後悔した。
『……何で』
視線の先にいたのは男性。それも数分前に私の脳裏にいた"世界一ワガママな元カレ"だった。
私の視線に気付いた元カレは胡散臭い笑顔を浮かべて先程私がいた会議室へと入っていった。
『最悪』
もう二度と会いたくないと思っていた人物とここで再会するなんて。……彼、私って気付いたかしら。
(取り敢えず早くここを出なきゃ)
私は足早に会社を出て、待機していた車へと乗り込む。
何にせよ、もう彼との関係は終わっているから今更関わってくることはないと思いたい。
しかし、この約一年後。
また彼と再会し、"世界一のワガママ"に振り回されることになるのをこの時の私はまだ知らない。
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作者名:みるくてぃー。 | 作成日時:2023年7月20日 3時