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WS「ヌナ、ごめん」


小さくそう呟いた彼はソファの端に丸まっては
電源を切ったスマホをずっと見つめていた。
ごめんね、と謝らなければいけないのは
気づくことが出来なかった私の方なのに。


ウソクの前に温かい紅茶を置いて、濡れた髪を乾かそうとすれば、その手を止められる。


「あ、ごめん…嫌だった?」

WS「ううん、そうじゃなくて」


隣おいでよ、と自分の隣をポンポンと叩いて
掴まれた手と共に引き寄せられた。


髪を乾かしてる間、徐々に元気に取り戻したのか
歌を歌い始めるウソクに少し安心した自分がいた。





が、その反面。
甘く柔らかい歌声が優しく私の耳に入ってくる度に
目の前にいるウソクが消えてしまいそうな気がして。
気づけばウソクがちゃんといることを確かめるように、乾いた髪を撫でていた。





WS「ヌナ…俺、猫じゃないよ?(笑)」

「あぁ、ごめん」

WS「…でもいいよ、もっと撫でて」





落ち着くから、と私の膝に頭を乗せてゴロンと寝転がっては目をつぶって待ち構えているウソクに思わず笑ってしまった。

少しでもこれで落ち着くのならと、再度ウソクの頭にそっと手をおく。





WS「ヌナは強いよね」

「え?」

WS「俺も…ヌナみたいに強くなりたい」





そう静かに話し始めた彼の表情はこちらからは見ることが出来ないけれど
私の膝が彼の涙で濡れていることは分かった。





「私は…強いことが決して良いことだは思わないよ」





どんな時でも強い人なんていない。
むしろ周りから強いと見られている人は
大体、弱さを隠している人だ。
…だから私も強くはないよ、ウソガ。


ウソクはそのままのウソクでいればいいよ。
弱かろうが、誰もあなたを責めたりはしないから。


そう背中越しに彼に伝えれば、ゆっくりと
起き上がってありがとう、と伝えてくれる。
そのあとソファから離れ玄関へと向かうウソクの後をゆっくりと追った。






「ウソガ」


おやすみ、と声をかければドアノブにかけた手を止めてこちらを振り返ったウソク。





WS「Aヌナ、」

「ん?」

WS「…おやすみ」





何か言おうとした言葉を飲み込んで優しく微笑み
そう言葉を返したウソクはメンバーが眠る部屋へと静かに帰っていった。


もっと彼らの力になるには
どうする事が最善なのだろうか。

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作者名:tam | 作成日時:2019年10月2日 19時

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