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その日の夜、Vライブをしていたウソクを迎えに行けば事務所には沢山のファンが待っていた。
こんな遅い時間に危ないな…
そう窓越しに見つめながらシートベルトを外し、
車から降りれば「Aオンニだ…」と
多くのファンの視線が私に向けられた。
いつどこで名前を知られたかは分からないが
一応会釈だけして事務所へと入った。
WS「おっ、Aヌナ〜」
赤いニットを着たウソクの声に振り返ったスンヨンとハンギョルの手にはファンからであろうプレゼントが。
「ありがと、私が持つから置いておいて」
SY「だめだめ、ヌナの腕おれちゃうから」
スンヨンが持っていた段ボールを貰おうとするものの頑なに渡してくれない。
…私をそんなか弱い奴だと思ってんのか。
WS「じゃあヌナは俺と手繋いで帰ろ」
SY/HG/YOU「「「は?」」」
急に何を言い出すのかと思いきや返事を待たずに私の手を掴み、事務所の入り口へと向かうウソクを慌てて止める。
…この子は一体何を考えてるんだ。
その時、彼の表情から何も読み取る事が出来なかった私はその大きい手をそっと解いて
3人を先に乗せたあと、ファンの叫び声が響きあう中を通り抜けながら宿舎へと向かった。
…
今日のスケジュールを無事に終え、
疲れた身体を引きずりながらベッドへと
ダイブした数分後。
明日は何ヶ月ぶりかの休みだぁ…と
重い瞼がゆっくりと閉じていく意識の中で
インターホンの音が聞こえた。
どうせまたハンギョルの悪戯だろう、
なんて思いながらも冷たい床を辿って
玄関のドアを開けた。
「あれ、ウソガ…?」
WS「…Aヌナ、」
まだ乾かしてない綺麗な髪から滴がゆっくりと落ちていく。
潤む瞳は赤く、今にでも壊れそうな表情のウソクをほっとく事なんて出来るわけもなく。
WS「…Aヌナ、助けてっ」
今まで聞いたこともないその怯えた声。
急いで洗面所からバスタオルを持ってきて
小さくなったその身体を優しく包んだ。
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作者名:tam | 作成日時:2019年10月2日 19時