Xマネ (ページ19)

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SW side

一度、膝を痛めて手術したことがある。

それから大分時間は経っているが
練習する中で時々痛みに襲われることがあった。

今はまだ我慢できる程度だけど、
ショーケースは万全な状態で望みたい。
そんな強い想いを添えて病院に行きたい事をAに伝えれば、分かった。とすぐに返事してくれた。

「一応、私からもメンバーには伝えるけどスンウからもちゃんと伝えるんだよ。」

今も痛む？なんて後ろを振り向き心配そうに俺の膝を見つめるから首を横にふれば、安心したように笑って再び前を向いた。

同い年だけど、俺よりも遥かに大人びた彼女を羨ましく思う。
スンヨンから話は少し聞いたけど彼女も彼女なりに大変な思いをしてきてるらしい。

けどそれを決して誰かに相談したり表情に出したりしないから心配だとも話していた。

俺がAの抱えてるものを少しでも減らすことが出来ればいいんだけど。
残念ながらまだ完全に心を開いてくれていない。

「A、」

「こら、運転中」

「…眠い」

「もうすぐ着いちゃうんですけど」

眠さもあってか不意に人肌恋しくなり、
彼女を後ろから抱きしめれば文句を言いながらも優しく俺の腕をトントンと叩く。

こういう甘えにも慣れているのか全く動揺しないAに少し不満を感じ、そっと離れ席にもたれかかりそのまま目を閉じた。

彼女が気を利かせて、少し遠回りして
宿舎に帰ったことなんて知らずに。