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SW「Aさんって、94年生まれなんですよね?」
「はい」
SW「じゃあAって呼んでいい?」
なんて最初に会話する前はしっかりしてる人だなぁ…さすがリーダーだなって思っていたのに。
事務所でダンス練習を終えた彼は汗を拭きながら鏡に背中をあずけて座り込んだ。
ハンギョルは床にへばりつくように倒れていたり、ウンサンは動画を見て練習していたりなどそれぞれ自由な時間を過ごしていた。
「お好きにどうぞ」
そう答えた私に向けて笑みを浮かべたスンウ。
優しいその笑みにほんの少しだけ胸がときめいた事は内緒にしておこう。
SW「A」
「ん?」
SW「呼んでみただけ(笑)」
「スンウ、そろそろ怒るよ?」
練習中にもこうして宿舎への帰り道にも
やたら名前を呼んでくる。
本人曰く、慣れるためだとかなんとか言ってるが
こちらとしては非常にだるい。
無視したらしたで呼び続けられ、しまいには歌い出すので反応せざるを得ない。
…弟達よ、大変な兄を持ってしまったな。
大事なアーティストの命を預かってる身として、
こんな事で事故にでも遭ったら…と考えただけで
手に汗がたまる。
安心安全でいきたいからお願いだ、少し黙っててくれ。
疲れたのか後ろで騒いでた他のメンバーはいつの間にか夢の中へ。
…お疲れ様でした。
スンウもやっと静かになったので寝てるのかなと思いきや、バックミラーを見れば起きていた。
SW「ねぇ、A」
今までとは違う声のトーン。
ただ呼んでみただけ、ではないと思い
小さい声で返事をした。
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作者名:tam | 作成日時:2019年10月2日 19時