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天才 ページ11

体育祭が終わり、二月も経つと、三年生の最後の試合が近付いてくる。

そしてバレー部では、


岩泉「おい!及川、それ以上はオーバートレーニングだ!」



及川「大丈夫、岩ちゃんはさきに帰ってて」




一つの問題が出来ていた





影山の才能、身体能力の高さによる、及川さんの焦り。


セッターという同じポジションで、及川さんは自分より年下の天才という影山の存在に、物凄く焦っていた。

その焦りから生じるプレーへの影響、オーバートレーニング。
誰も及川さんの事を止める事ができずにいた






ピー!

「集合!では、明日は練習試合もある。今日は各自家に帰ってゆっくり休むように。解散!」




「「「お疲れ様でした!」」」





国見「帰ろーぜー」


金田一「どうした?樋口」



『ごめん、今日明日の準備してから帰る!』


影山「手伝うぞ」


『大丈夫、私の持ち物だから!』



金田一「そうか?気をつけて帰れよ」


『うん』








ダン!ダン!

皆んなが帰ってから約30分、体育館に響くボールの音




『及川さん…』


及川「Aちゃん⁈まだ帰ってなかったの?」


『それはこっちのセリフです。明日は練習試合ですよ。及川さん、昨日も一昨日も残って練習してましたよね』


及川「女の子がこんな時間に帰ったら危ないでしょ。」


『話を逸らさないでください!』



体育館に響いた私の声は、及川さんの薄っぺらな笑顔を剥がすのには充分だった







及川「…足りないんだ。全然、まだ足りない。天才に勝つには天才よりも倍の時間をかけないと行けない。許してAちゃん。」




『及川さん…』




この人の焦る気持ちも、背後から襲ってくる押しつぶされそうになる不安も、私は理解出来る。実際体験したわけでもないけど、今の及川さんをみていれば理解するのは容易だった。




だからこそ、私には止められない。






及川「帰り道、途中まで一緒だよね。」


『はい…』


及川「なんでAちゃんが悲しい顔するのさ〜」




また、いつものヘラヘラな及川さん。
マネージャーとして、私には何も出来ないのだろうか。

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作者名:カリナ | 作成日時:2024年1月10日 1時

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