第7話 ページ8
英智side
その時はまるで、本当に、この瞬間が奇跡のように思えた。
｢A……、影片、A。
あぁ、ようやく出会えたね…!｣
『っ……』
だってあんなにも焦がれていた彼が、ようやく目の前に現れたのだから。
彼の周りだけ、世界が違って見える。
例え彼がどんな表情を＿＿＿恐怖に顔を歪めていようと、関係なかった。
彼の何もかもが、僕にとっては美しい、宝物に違いなかったから。
｢ずっと君に逢いたかった、探していたんだ。また君に会えて嬉しいよ｣
『……あ、ええと…君と会うのは初めてだと、思うのだけど』
彼はぎこちなく、感情を殺すかのように、それでも僕に微笑んだ。
｢おっと……驚かせてしまったかな。
僕は君のファンなんだ。嬉しさのあまりについ、我を忘れてしまったよ｣
『あ、ありがとう、…でも』
彼が何か言いかけたその時、
｢＿＿Aにいさん!｣
｢!｣
どこからか彼の名を呼ぶ声が聞こえて、
瞬間、僕らの間を断つように突風が吹き抜けた。
｢うわっ!?｣
｢っ……五奇人か…｣
僕の目が眩んでいる間に、彼の姿は忽然と消えていた。
…大方、”あの子”に連れていかれた…、助け出されたのだろう。
完全に風が止んだ後、髪を乱したつむぎが心配そうに僕を見つめた。
｢え、英智くん、大丈夫ですか？｣
｢…大丈夫だよ、つむぎ。ようやく彼と出会えた今、倒れるわけにもいかないからね｣
五奇人の"あの子"は、本当に魔法使いなのか。はたまた、ただの偶然なのか。
まぁいつだって、障害は付き物ってところだろう。
その方がいくらか燃えるものだ。
｢(だってついに、僕らは”出会ってしまった”のだから)｣
出会いさえ本物の偶然であれば、構わない。
手にした権力を駆使すれば無理やりに会うことも可能だっただろうけれど、それはしたくなかった。
僕らの出会いは……出会いだけは、絶対に運命でなければならないのだから。
｢ふふ…、僕らの出会いは本当に運命なんだよ、Aくん｣
ただ君が何にも知らずに、覚えていないだけで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 203人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - すみません手違いで以前頂いたコメントへの返信を消してしまいました、、すみませんでした…! (2017年5月22日 20時) (
レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととてもやる気が出ます…!更新頑張ります (2017年5月21日 10時) (レス) id: f51b0c6802 (このIDを非表示/違反報告)
栗 - え…神ってる…え…やばい…まず設定からして最高すぎるし、えーちがめっちゃファンで言ったらヤンデレみたいなのらまじで最高です。神です天才なんですか天才すぎます。これからも頑張って下さい！！！！！続き楽しみにしてます！！！！ (2017年5月21日 4時) (レス) id: 057c14ed72 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - そうかここが桃源郷か…(翻訳 とっても面白いです!!!更新待ってます♪) うん。どんな翻訳だよ… (2017年5月19日 15時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - この作品見た瞬間お気に入り登録しちゃいました！ storyが自分的に好きなので無理せずに更新頑張ってください (2017年5月18日 22時) (レス) id: 7d3153bea9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2017年5月17日 23時
