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･･･
「あれ、泣いてんの？」
「え、いまごろですか。」
携帯のスピーカーからほのかに漏れる
可愛らしいくすぐったいような女の子の声を
彼は指先で断ち切って
ぐらんと勢いよく私の前にしゃがみ込んだ。
「気づかなかった。きれーだったから。」
わぁすごい。
なんということでしょう。
先程までの怒り、呆れが嘘のように消えて
匠によってそれらは動悸、めまいへと…。
「なんでぼーっとしてんの？」
そう言ってコーヒーみたいな色の長めの前髪のあいだからなんとも澄んだ瞳が私をのぞき込む。
色っぽいとばかり思っていたけれど、
少しその瞳のきらきらに、少年の面影を見つけて
私の涙腺はほっと緩む。
「あれ、俺まずかったかな…。」
じわじわと滲む視界の縁を
決まりが悪そうにそろりと親指の腹でぬぐうから、
可愛いな、と思ったりもした。
ちょっとした別れ話だから大丈夫ですよ、と
微笑んで彼の心配を断ろうとするけども
ちょっとした別れ話なんてないでしょ。と
もっともなことを言われたせいで私は彼に肩を抱いてもらったまま、しばらくの間じっとしていなければならなかった。
「…落ち着いた？」
「あなたが携帯借りた時から落ち着いてたよ。」
「嘘だ。あんなに目がゆらゆらしてたのに。」
「うーん、じゃあ半分嘘なのかな。」
もう街灯も疲れた光の色をちかちか弱らせていて
先程まで何かデジタルの音が漏れていたこの建物の2階もしんと静まりかえっている。
私の携帯はまだ心優しい彼の手の中にあるから
時刻は分からないけど、きっと深夜だ。
「じゃあ、帰ろうかな。」
「帰るの？」
「うん。だからあなたも帰ったら？」
そういいながら、彼の指先で弄ばれ、両手で捕まえられていた私の携帯をそっと取り上げた。
彼はじっと考えるような顔をしながら私の目を
観察するように見つめて、俺、ジョンインだよ。とだけ返した。
…
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ねこたん(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！このお話読ませてもらってます✨応援してます！ (2021年11月11日 20時) (
レス) @page6 id: d1f46be94a (このIDを非表示/違反報告)
myuu.(プロフ) - 情景が頭に浮かんでほんときゅんきゅんしながら読ませていただきました！ミンソクさんのお話だいすきです。。。続き楽しみに待ってます\ / (2018年4月27日 0時) (レス) id: c71548e679 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - まどさん» 私もギョンスペンなんです！だからちょっとギョンスの回、力入ってます(笑)そんなふうに喜んでもらえて良かったです！コメントをパワーに頑張ります！ (2018年3月8日 0時) (レス) id: 1af2ef9880 (このIDを非表示/違反報告)
まど - すっごく面白いです！メンバーそれぞれの色が違ってめっちゃきゅんとします。。。！ギョンスペンなのでギョンスの回では素敵すぎて叫びました笑更新頑張ってください！ (2018年3月7日 19時) (レス) id: 348d09fd4a (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - ヨルヨルさん» はじめまして！うわーありがとうございます！お察しの通り短編とか言いつつ、まとめて長編って感じの作品になってます(笑)更新頑張ります！ (2018年3月7日 0時) (レス) id: 1af2ef9880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きら | 作成日時：2018年2月27日 0時
