今日から嫁、始めます【オリジナル・男主】

嫁11 ページ15

それからの1週間は苦痛でしかなかった。

1度αの、薫様のフェロモンを真に受けてしまって、フェロモンが溢れて止まらなくなってしまったから。

べっとの中で布団に包まってただひたすら耐える。抑制剤を飲んで、寝て、飲んで、寝ての繰り返し。

食事も取るのがキツイ。と言うか、匂いでもうダメ。吐きそうになる。

頭がグラグラして、何も考えられなくなる。ただ、さすがに食べないと体力も持たないから雪がお粥を作ってくれてるけど、だいたい戻してる。


貴「……ごめ、ん…作っ、てくれ…たっのに…全部、っぁ…！」

雪「大丈夫、気にしてないわ。辛いだろうけど、頑張って」


わっちは情けなく、首をコクコクと降ることしかできなかった。

布団の中からは見えないのに雪はわかってくれたらしく、ひとつ、布団の上から頭を撫でてくれた。

燐はいつもの煩さがまるで嘘のように静かにしていた。あはは、なんか調子狂うなぁ……。


燐「小桜、大丈夫……？私、雪みたいに器用じゃないから何もできなくて……！」

貴「…じゃぁ、そばに…いて、っ…」

頭と手を布団からちょこんと出して、手を燐に伸ばす。燐の手を掴んで頬に手を当てる。ひんやりした燐の手が、火照った身体にちょうどいい。


貴「燐には、それくら、い…しか、できな…いしょ？」


馬鹿にして笑ってやると、稽古を2倍にするぞって脅してきた。

…よかった、いつもの燐に戻って。

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