無理 ページ9
拓(…あれ、お姉ちゃんどこに………！！)
「ご実家に帰られたと聞いていたので、まさかこんなところで会えるとは思っていなくて！すみません、お休み中に声をかけてしまって」
『いえいえ…突然の退職だったこと改めてお詫びいたします。短い間でしたがありがとうございました』
「こちらこそ…！あの、もしよろしければこの後」
拓「お姉ちゃん」
『！すみません、弟が来たので…』
「あ、そうですか……それではまた、ご縁があれば…」ﾍﾟｺｯ
『失礼します』
拓「お姉ちゃん、あの人誰？」
『……前の仕事のお客さん』
拓「！…お姉ちゃん、一旦座ろ」
あの人、私の噂を聞いてないの？
いや、分かってて声掛けて来たのかも
新しい担当が誰かは知らないけど、もしかしたら会社中に私が東京に戻ってきたって広まって……
拓「お姉ちゃん！！」
『！…………ごめ……いきなりやったから、びっくりして…』
拓「分かってる。…落ち着いて、大丈夫やから。俺がおるから」
あの人は、私が担当していた
たとえ、あの時のことを知らなくても半年前に比べて、みすぼらしくなった私を見て絶対何かあったことには気づいたはず
さっき、私上手く笑えてた？
『……もうやだ…』
拓実に迷惑をかけたいわけじゃない
でも、だめなんだ
もう、私は無理なのかも
拓「……お姉ちゃんは今日楽しくなかった？」
『！』
拓「俺はお姉ちゃんと買い物出来て楽しかったけど…今の人のせいで全部台無しになったんやったら、文句言いにいってやる！」
『ちょ、ちょっと……楽しかったよ、私だって。…ただ、家族以外信じられないの。みんな私を見下してる気がする、みんなこっちを見てる気がする…』
拓「…俺はお姉ちゃんが幸せになるためにどうしたらいい？」
『……何も、しなくていいよ。心配かけてごめんね』
拓「……なら、ウザがられてもそばおるからな！？」ｷﾞｭｯ
『ちょ、拓実…！？』
拓「嫌なもんは見んくてええよ。俺だけ見といて」
『！……そうだね』
拓(…また、昔みたいに笑って欲しいだけなんやけどなあ)
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作者名：はるさめ | 作成日時：2024年3月21日 15時
