破壊衝動《露病み》 ページ3
大切な人の物を壊すのって楽しいよね。
大事なもの程特に。
思い出が詰まったもの程丁寧に。
Aちゃんのものを壊していく度に、
Aちゃんが僕に近づいて来てる気持ちになる。
Aちゃんが泣いて、
僕が慰めて、
その繰り返しを、もう何度しただろう?
それでも僕はまだ足りないんだ。
何度も何度も君の大切壊したくて。
今日は何を壊そうか───?
「私の大事なもの?」
Aちゃんは首を傾げる。
「うん、ちょっと気になって」
なんてね。
Aちゃんはちょっと悩んだ後、
「これかな?お母さんの形見なの」
そう言って左手首の時計を見せた。
「ちょっとよく見せて」
「………うん、いいよ」
Aちゃんはするりと時計を腕から外して僕に渡してくれる。
綺麗なピンクの、小さな腕時計。
Aちゃんによく似合ってる。
簡単に壊せそうだ。
さぁ、どうやって───
「───んっ、イヴァン!!」
「────っ!?」
Aに引っ張られて、僕は後ろに倒れる。
そして持っていた時計は、目の前を通り過ぎたトラックに轢かれて粉々になった。
「イヴァン!?何ぼーっとしてるの!?」
「あ、Aちゃん時計…………」
「そんなのどうでもいいよ……イヴァンが無事なら……」
───僕が無事なら?
あの時計より?
「……あぁ、そっか……」
やっと見つけた。
Aちゃんの一番大切な物。
「……イヴァン………?」
もう彼女を慰められないけど、
もう彼女に謝れないけど、
「やめて………イヴァン………ッ」
──僕はトラックの前に飛び込んだ─────
「イヴァン!!!!」
@ @ @
NY「Byものをパラパラ壊す」
仏「いやでもコレイヴァンならありそう」
NY「救急車で運ばれて行くのを一緒に見送ってるとかね」
仏「悪夢だな」
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作者名:藍子 | 作成日時:2015年6月14日 0時