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4.厄介事 ページ5

真夜中の住宅街を一人の青年が駆け抜ける。

「クソっ、あの女どこ行きやがった!?」

誰かを探して。

しかしそれは平穏には聞こえなかった。

「早く見つけねーと…………」

『もしもしギルちゃん!?あの女は!?』

青年の耳元のイヤホンから無線がはいる。

「まだだ……」

『許可が降りたで、見つけ次第殺せやと』

「そのつもりだ───っ」

『どしたん?』

「見つけた……」

マンションのとある部屋に侵入しようとしている
奴を見つけた。

「とりあえず俺はあの女追う!」

『わかった。俺もすぐ行くわ』

無線を切ってあの女の入ったマンションへ向かう。

──落ち着け、

あの女の入った部屋は電気がついてない。

誰もいないのなら好都合だ────

▶▶▶


────そう、好都合だ…………った。

人さえ居なければ…………


「…………………やっべぇ…………」


殺った女の下敷きになっている少女。

それを見た青年はため息すら出なかった。

「ギルちゃん!あの女は!?」

やっと遅れて駆けつけたもう一人の青年が、

同じく少女を見て固まる。


「────え………ど、どうするんコレ………?」



「…………………………………………………………夢オチでした」

「無理やろ」


こんな状況、どう考えても誤魔化しきれない。

いっそコレが夢オチならいいのに。

「とりあえずこの子の家族が帰るまでに───」


「あ、いや……それはない……と、思う………で?」

「どういう事だよ?」

「これ見てん」

関西弁の青年が指差すのは、

家具やカーテンすらない殺風景な部屋。

生活に必要な物が一切無く、生活感がまるで無い。

「………どういう事だ?」

「引越し前………って訳でもなさそうやし……」

それに、あの少女がこんなマンションに一人暮らしってのも色々とおかしい。

「どうするん?」

もみ消す為には早く行動しなければいけない。

だがこの子を放って置けば警察に通報され、

奴らが動くかもしれない。

かと言ってこの子を殺しても更に仕事が増えるだけだし……



 
 
 
 
 
 
 
 

「仕方ねぇ……─────連れてくぞ」
 

6.駄目人間→←3.恐怖



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作者名:藍子 | 作成日時:2015年6月11日 22時

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