2.少女 ページ3
あれから何時間経っただろうか。
「………………ぅ……」
昇っていた陽はとっくに沈み、
すっかり暗闇に包まれていた。
「………ふ、ぁ………ぁ」
生あくびをして、
ずるずると体をPCの方に引きずる。
(……………あれ………?)
ペットボトルが空だった。
まわりを見渡しても、
飲み物らしきものは残っていない。
───………まずった。
少女は基本この部屋から出ることなく生きている。
それ故か食器はおろか冷蔵庫の電源すら入って無い。
家族と呼べるような人物などいない──…………
───と、
一つが破綻すれば全てが破綻する仕組みになっていた。
……………などと理屈をこねても、
事態は好転しない訳だが……………
とりあえず水が無ければ飲食が出来ない。
ウェットティッシュならあるが、
アレを飲むのは無理だろう。氏ぬ。
「………………はぁ……」
少女はため息をついてふらふらと立ち上がる。
冷蔵庫など飾り。
ガスも今使えば爆発しそうな程放ったらかし。
だが水道水ぐらいなら出るだろうと、
少女はダイニングキッチンに向かう。
本来ならばトイレか風呂か宅配の時にしか出ないのだが、
まぁ仕方無い。
自分にそう言い聞かせる少女。
そんな矢先────
────ガシャンッ
誰もいないはずのダイニングキッチンから、
音が聞こえた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍子 | 作成日時:2015年6月11日 22時