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ゆっくり私はりりかさんの手を握って歩き出した




大きな扉の前で止まる




そこには "hiroomi" と書いてある




" ひろおみ " …?




あの貴族の名前…?







りりかさんがコンコンとノックをし私に入ってと合図をする




私はゆっくりと部屋の中に入る、そうするとりりかさんがゆっくりとドアを閉めた









視線が痛い









その視線を送っているのは大きな部屋の大きなベッドに腰をかけているあの、私を買った貴族









「こっちに来いよ」






そう言われ震える足で貴族の元へ




貴族の前に立つと腕を掴まれ






「お前…ほんとに綺麗だな」







そう呟く







『…っえ?』






私の頭上にははてなマークしか浮かばない



私が綺麗?そんなことあるはずがない


こんなにボロボロで汚い体…







『私…っ…汚い…』






「ん?お前を見た瞬間、俺のモノにするって思った

一目見て綺麗だと思った

だからあのデブな貧乏人がお前に手出してるのムカついてボコっちまった」





『…そう…なんですね…』





「ふっ…今更敬語って…クククッ

お前綺麗で可愛くて面白いのか?

サイコーだろ」(笑)





腹を抱えて笑う貴族



どこが面白いのか





「それにしても…お前細すぎないか?

ストヘルムで食事は?」



『私の目や髪の色で血縁は異国の血が混ざっていると言われ、食事は貰えてませんでした』



「なら、食事はどうしてた?」



『親友や、誰かが残したものを』



「飲み物は?」



『何かで使用した水を』









そう答えた瞬間貴族は苦しそうに表情を歪ませ私の腕を引き抱き寄せた









「辛かったな…」



『いえ…私がこんな見た目だから悪いんです

こんな髪嫌だ、こんな目いらない…

きもちわるいって言われるんです

もう慣れましたけど…フフフッ』




から笑いをすると「笑うな」と言われた




そして貴族は体を離し





「俺はお前の髪も目も綺麗だと思う

俺はついてるな、お前みたいな女を買えて」





そう言って優しい顔で微笑む





ああ…あの頭を撫でてくれた時と同じ表情





怖くない









この時だけはそう…思った

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作者名:芹那RaTe | 作成日時:2016年10月9日 0時

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