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小嶋「そうですね、私ももう8年？
総選挙に出させてもらってて、AKBに入ってからは10年経ったかな？
最初はアイドルなんてやる気なんてなかったけど、入ったら居心地が良くて。
こうしてファンの方に支えられて、応援してもらえるのが嬉しくて。
そして、ステージでパフォーマンスしたり、握手会でお話できるのが楽しくて。
AKBを離れることが寂しくなって、なかなか踏ん切りが付けられなくなっちゃって。
なんやかんや、ここまで続けられちゃいました笑
いや…続けてしまいました？って言った方がいいのかな？笑
たくさんの同期や後輩を見送って、寂しいなーなんて思ったりして。
それでもここにいたのは、やっぱりAKBが好きだったからなんですけど。
大好きだから旅立つ理由もなくて、長々と居座ってしまいました。
すみません、こんな長くいるつもりなんてなかったんですけどね笑
そんな私も、やっと決心をしました。
私、小嶋陽菜は、やーっとAKB48を卒業しまーす！」
会場が揺れた。
私も、思わず目を見開いてしまった。
泣かないと決めていたのに…
頬には冷たい雫。
渦巻く弱い気持ち。
こじはるさんがいなくなっちゃうなんて、絶対に嫌だ。
そうやって、自分の感情を優先する。
私はまだ、サヨナラに強くなれない。
小嶋「びっくりさせちゃいましたかね…？
驚いてくれたなら、サプライズは成功でーす！」
こじはるさんは、いたって通常運転だ。
卒業時期は未定だけど、コンサートはやる予定ということ。
これが最後の総選挙だということ。
にゃんにゃん仮面として出たのは、ちょっとしたサプライズだということ。
たかみなみたいにはならないですって、笑いを誘うスピーチで締めた。
笑いに包まれる会場。
泣き笑いの空気が、余計に感傷を誘った。
ダメだ、涙が止まらない…
笑っていなきゃいけないのに。
今年は笑顔でスピーチするって決めたのに。
泣きたくない、涙よ止まって。
止まれ、止まれ止まれ…！
＿＿第5位 白橋A
まだ、涙の残像があるのに。
私の名前が呼ばれてしまった。
立ち上がって、後ろを振り返る。
結局、涙の跡を消すことは出来なかった。
泣き笑いの顔で、頭を下げた。
無理に笑ったせいで、頬の表情筋が硬い。
壇上に近づくにつれて、こじはるさんの顔が近くなる。
その顔を、まともに見れなかった。
それでも、チラと一瞬見上げた時。
曖昧な視線で一つ頷く綺麗な顔が、私の視界を占領した。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年4月9日 18時
