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高橋「もちろんね、楽しいことばっかじゃなかったと思う。
辛いこと苦しいこともあったね。
もしかしたら、人より多かったかもしれない。
もっと前に辞めちゃってたかもしれない。
実際、そういう姿も見てきたからさ…
表には見せてこなかった葛藤や苦しみも、私は知ってる。
本気で危なかったし、私も一時はどうなるかと思った。
だから私は、Aが今もこうしてアイドルしてくれてるのが嬉しいんだ。
キラキラ笑ってくれてることが、本当に幸せ」
「そうですよね…
うん、もっと前に諦めそうになったことがあって。
感情に流されて、辞めるっていう選択肢しかないって思い込んでた。
でもその時に、辞めちゃダメ！って強く止めてくれたのがたかみなさんで。
こう…今まで、じっくり話を聞いてアドバイスしてもらってたので。
初めて感情を顕にしたたかみなさんを見て、目が覚めました。
こんなに必死になって、こっちの世界に繋ぎ止めてくれる人がいる。
そんな人を裏切っちゃダメだって、ハッとしました」
彼女のアイドル人生は、傍から見たらシンデレラストーリーに見えるだろう。
恵まれた出世ルートを、順調に辿ったように思えるかもしれない。
けど、決して順風満帆なんかじゃない。
アイドルを続ける以上の弊害が、彼女の行く手を阻んだこともあった。
何度も壁にぶつかって、その度に傷つく姿も見てきた。
彼女がここにいること。
その奇跡が、私にとって幸せなのだ。
高橋「Aには、自分がやり切ったって思えるまでアイドルして欲しいからね。
もちろんそれは、みんなそうだけどさ。
色んなものを犠牲にして、逆境の中で常に100点を出し続けて来て。
それでも更に高得点を狙って、走ってって。
すげー孤独だと思うし、私には絶対出来ないから。
そのままの状態で卒業して欲しくないっていうか。
たくさんの人に囲まれて、1番幸せだっていう状況で卒業して欲しいな」
「…約束しますっ」
高橋「うん、幸せになるんだぞ〜」
「ありがとうございます…！
たかみなさんも、幸せになって下さい！」
横山「ええ話…」
高橋「由依まで泣かんといてぇ」
「無理ですよぉ、たかみなさん良い事言い過ぎです…っ」
高橋「それはAもやろがぁ」
もうそろそろ、伝えるべき言葉がなくなる。
ゼロになったら、旅立とう。
本当にもうすぐそこだ。
桜の花びらが咲いている。
最終ベルが鳴っている。
私は、手を振ってここを去ろう。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年4月9日 18時
