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橋本side
『大丈夫かなぁ…』
橋本「一緒に自己採点したけど、かなり出来た方だと思うんだよね」
『それもそうなんやけど、朝ちょっとね…』
橋本「なんかあったの？」
『緊張で酔っちゃって…』
橋本「そんな追い詰められてたんだ…」
『お母さん、家出る前に約束の確認を念入りにしてきたらしい』
橋本「相変わらずだなぁ…」
Aのテストの結果発表。
もうすぐ時間になるはず。
私は、現場入りを早めてマネージャーさんと連絡を待ってる。
やっぱり無理してた。
昨日電話がかかって来なかったってことは、もう限界スレスレだろうと思ってたから。
大丈夫だって信じてても、あの不安気な瞳が蘇る。
彼女は今、自分の目で未来を確かめている。
瞳の色は、きっと同じだ。
＿＿Aからや
スマホが鳴った。
心臓が高鳴る。
指先が情けなく震える。
それが、彼女の背負う重圧だ。
まゆちゃん、ななみん＿＿＿！
橋本「…っ」
『A…っ！』
「うん…うん…っ」
第一声。
その声を聞いた瞬間に確信した。
堰を切ったように涙が溢れてくる。
電話越しにも、同じ景色があるはずだ。
『ほんま…頑張ったねっ』
「みんなのおかげ……ほんとありがとうっ」
橋本「A…もういいよ。
もう、誰が何と言おうと認めていいんだよ自分のこと。
自分で道を決めて、努力して勝ち取った。
紛れもない事実だから。
Aは強くなった、また一つ階段を上ったんだよ」
「ありがと…ありがとうっ！」
『月並みやけど、おめでとうしか浮かばんよ。
もう私は、アイドル白橋Aを見られることが嬉しい…！
Aのファンやから、私も』
「ありがとう、まゆちゃん…っ」
『努力は必ず報われるって、ほんまやな』
「うん、私が証明した」
橋本「理不尽な強さかもしれない。
必要なかった強さなのかもしれない。
でも、プラスになったことは間違いないから。
Aはこれから、Aの人生を生きるの。
納得出来るところまで、アイドルやりな」
「うん、約束する」
こんなプレッシャーも不安も、必要ない。
そう言ってしまえばそれまでだし、立ち返ればそうだとも思う。
けど、過去を振り返っても仕方ない。
Aは、自分に与えられた環境の中で答えを見つけたのだ。
未来は、階段の一段上にあった。
あなたの人生は、今日ここから始まるんだよ。
思いっきり楽しんで、思いっきり生きて。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年4月9日 18時
