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『自分も、人望ないって分かってるじゃん。
認めてたでしょ、みっともなく泣きながら。
自分が悪いのに、悲劇のヒロインぶっちゃってさ。
そういうとこが、見てて冷めるんだよ。
人望ないですって言って、そんなことないよ〜って言ってもらいたいだけでしょ?
所詮、顔が可愛いからって世の中舐めてるだけでしょ?
構ってちゃんしちゃってさ、そういうのほんとムカつくんだよね。
それで、演出で貰ったらあっさり喜んで。
涙もすーぐ止まって、ほんと無駄に嘘泣きだけは上手いよね』
「…まいちゅんは、本気でくれたよ」
『そう思いたいだけでしょ。
あのメンバーの中で、Aだけ貰えなかったらどうなる?
人気メンバーなのは、運営の推しがあったから。
2期生とか内部からは嫌われてるんだって。
エースとして売り出してるのに、実はグループのみんなから人望なんてなくて。
単純に大人に売り出された虚像、はだかの王様なんだなって思われる。
そういうイメージが付くから、先手を打ったんだよ』
それでも、絶対認めない。
私が1つでもプレゼントを貰ったら気に入らないの?
どうして、そこまで否定されなきゃいけないのか。
私にはまだ分からない。
『なんで、自分から2期生に歩み寄らないの?
泣くくらいなら、もっと輪の中に行けばいいのに。
自分では全く動かなくて、来てくれるの待ちですか?
…ったく、どんだけ頭の中お姫様なのよ』
「いや、タイミング逃しちゃったから…」
『タイミングって何?
もう2期生が加入してから結構経つよね?
ずーっと仲良くなるタイミングなかったってこと?
違うでしょ、あんたが仲良くしたくなかっただけでしょ。
自分の地位を揺るがすかもしれないから。
センターも取られたし、ファン目線で来られてもムカつくから。
自分から遠ざけて、あんたが勝手に毛嫌いしてただけじゃん』
「別にそういうわけじゃ…」
『周りからすれば、そう見えてたってことでしょ?
だから、2期生はチョコくれなかったんだよ』
「…それはっ」
『なに、プライドが許さないの?
自分の方が芸歴長くて、経験値もあって。
人気だから、舐めたことされたくない?
最年少だけど私のほうが人気あるからって?
うーわ、何それ感じ悪いわぁ』
「違う…」
こうやってまくし立てられて、決めつけられて。
私が取り付く島もない。
そうじゃないって、心の中では反論してるのに。
それが、声となって届くことはなかった。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年3月28日 18時