憧れのチョコレート ページ40
もうすぐ2月ということで、今年は2期生を対象にバレンタイン企画をやるらしい。
今までは、1期生同士でチョコをあげ合ってたんだけど。
今年は、2期生が憧れの1期生にチョコを渡すって企画らしい。
「やだなぁ…」
桜井「なんでぇ」
「私、絶対誰からも貰えないもん…」
桜井「そんなことないよ、Aに憧れてる子たくさんいるんだよ？」
「それはきっと、アイドルの私に憧れてるだけだよ。
別に、人として私に憧れてるわけじゃない。
バレンタインって、自分が好きな人に渡すでしょ？
私はその、好きな人に入ってないと思う」
桜井「えぇ、そんなことないのになぁ…」
「人望ないもん、私」
桜井「それ言われたら、私だって…」
「玲香は人望あるよ、なきゃキャプテン出来ないもん」
桜井「ありがとうだけど、Aも大丈夫だよ。
Aの魅力は、チョコの数で測られないからね」
私は、やる前からブルーです。
2期生とは未だに、距離を縮め切れていなかった。
ほぼ接点がないと言っても過言じゃない。
人望なんて、皆無に等しい。
絶対貰えないのは分かってるけど、OAが怖い…
ママにバレたら、また怒られちゃうだろうなぁ。
:
『まだ今のとこ、チョコ貰ってない人誰だ？』
『あ、結構みんな貰ってないんだね。
えー、Aちゃんもまだ？』
「はい…」
『なんか意外だね、めっちゃ人気そうなのに』
「いや、私全然人望ないので…」
『そんなことはないよ笑』
『うん、みんな恐れ多くて渡せないんじゃない？』
「いや、絶対違います…」
『めちゃくちゃネガティブなんだけど、そんな子だったっけ？笑』
「だってぇ……今の時点で、候補の名前にすら挙がってないんですもん。
そりゃ、弱気にもなっちゃいますよ…」
『すげぇ、Aちゃんがこんな弱気になるとこ、初めて見たわ』
『大丈夫よぉ、あなたすごい人なんだから！
これから絶対に貰えるって！』
収録が始まって結構経つけど、今だにチョコは0個のまま。
ちょっと自信あるかなって子でも、手を挙げるまでには至らなかった。
あんなに2期生と仲良くしてる飛鳥だって、この振られ様なんだから。
私なんて絶対無理に決まってる。
バナナマンさんは気を遣ってくれたけど、本当の私はこっちなんです。
いたたまれなくて下を向きそうになったけど、何とか堪える。
次は、少しチャンスありそうなまいちゅんの番。
勇気を出して、何とか手だけは挙げなきゃ…
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年3月28日 18時
