花言葉は、追憶の… ページ38
深川side
「まいまい、リップシンク終わった?」
深川「うん、終わったよ」
「じゃ、そっち行く」
深川「おいで〜」
「見てぇ、私の目」
深川「真っ赤になってるねぇ」
「寂しくてガチ泣きした」
深川「なんだ、可愛いなぁ」
「頑張ってねって言われたけど、全然頑張る必要なんかなかった。
まいまいとMV撮れるの最後だって思ったら、普通に涙止まらなかった」
深川「ありがとね、泣いてくれて」
最後のMV撮影は、今までで1番穏やかな雰囲気で行われている。
曲の影響もあるかもしれないけど、漂う空気が優しい。
この曲は、僭越ながら私のために作って頂いた曲で。
それをみんなが大切に作ってくれているのが、堪らなく嬉しかった。
こうやって、本気で泣いてくれる子がいるのも、心底嬉しい。
「すごい寂しくて、泣いちゃうんだけどさ。
なーんか、この曲ってあったかいんだよね。
寂しさに寄り添ってくれるっていうか…
思い出を残してくれるって感じがする」
深川「私も同じこと思ってた。
センターって、もっと気負うかなって思ってたんだけどさ。
全然そんなことなかったんだ。
きっと、Aとかまいやんとかなーちゃんとかは、立場が違うから。
今まで真ん中やった子達は、すごいプレッシャーの中でセンターやったんだろうけど。
私はなんか、心から楽しめちゃってる。
むしろ、この温かさに私が背中を押してもらっちゃってる」
「それは、まいまいが今まで、そうしてきたからじゃないかな。
誰にとっても大切な存在で、それこそ、日向のような存在で。
みんなを優しく、温かく守ってきてくれたから。
まいまいの門出は、私たちが優しく背中を押そうって。
最後のセンター、思いっきり楽しんで欲しいなって思ってるからだと思う」
深川「ありがとう…!」
「選抜発表の時、まいまい不安って言ってたじゃん?」
深川「言ったね」
「今は、その不安な気持ちはなくなったってこと?」
深川「うん、不安な気持ちは一切ないよ」
「良かったぁ…」
深川「むしろ、こんな手放しで楽しんじゃっていいのかなってくらいだよ」
「いいんだよ、心から楽しんで。
その方が私達も嬉しいし、そのための曲だと思うから」
彼女は、優しい言葉を紡ぐ天才でもあると思う。
外側では、乃木坂を引っ張るエースとして強い存在だと思われている。
けど、実際はすごく心が優しくて柔らかくて、あったかい子。
そんなAが、私は好きだ。
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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年3月28日 18時