人を頼って、信じること ページ23
まいまいの卒業発表の直後、14枚目シングルの選抜発表があった。
久しぶりのスタジオ発表。
バナナマンさんに見守られながらの発表は、やっぱり安心感が違う。
全員揃った状態で、3列目から名前を呼ばれていく。
今回は、本音をポロポロと零すメンバーが多かった。
まいまいがいなくなるということ、そして紅白に出たこと。
今年1年、更に飛躍しなければいけないプレッシャーを実感したからだろう。
それは私も例外ではない。
今、フロントのトップバッターでななみんが呼ばれた。
私は、まだ呼ばれていない。
__白橋 A
『Aちゃん、おめでとうございます』
「ありがとうございます」
『久しぶりのフロントですけど、どうですか?』
「うん…嬉しいです、やっぱり…ありがとうございます」
ななみんのシンメで、私の名前が呼ばれた。
久しぶりのフロント。
じっくりと心に落とし込んでもなお、嬉しいと思えている。
必要以上のプレッシャーは感じていなかった。
これは、ちょっと前進できた証だろうか。
『今、どんなことを思ってますか?』
「う〜ん……色々思うことはあるけど、ちょっと安心している自分がいます」
『安心…?』
「まいまいは卒業発表しちゃうし、寂しいんですけど。
やっぱり、すごく支えになってくれる存在だったので。
そういう意味の安心じゃなくて…
去年、初めて乃木坂として紅白に出させてもらって、神宮も成功して。
こう…いい調子で上って来てるなっていうのを、実感できました。
グループとして戦えるって思えたと言うか…
乃木坂らしさとはこれです!って言える武器がある安心。
私の中でも、背負って来たものがちょっと軽くなったというか…
うん…上から目線に感じちゃうかもしれないですけど。
成功体験が少し、自信に繋がったかなって思ってます」
『成功体験はね、すげー大事だよね。
何が大事かって、自分でこれは成功だって認めてあげられることだと思うよ。
これまでもさ、成功してきたことはあるわけじゃん?
それこそ、乃木坂に受かって、こんな最前線で活躍してさ。
そのこと自体が成功って考え方もあるわけでさ』
「うん、確かに…何を成功と思うかは自分次第ですもんね」
2作連続で、2列目を任せてもらった。
そこから見た景色。
前の人の背中、隣の人の支え。
味方がこんなにたくさんいる、1人で頑張らなくていい。
そう知ったことは、ものすごい大きな力になった。
303人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年3月28日 18時