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私の中で、明確な自己防衛があった。
それは、お姉ちゃんに負の感情を持たないこと。
お姉ちゃんは優しくて、いつも私の味方をしてくれる。
ママに自分の意見を言える勇気も、自分で決めたことを貫ける強さもある。
私からすれば、完璧なお姉ちゃん。
人間として非の打ち所がないと思ってる。
そんな姉に、負の感情を持ってしまったら、私は本当に人として欠落していることになる。
たとえ、姉のせいで自分に全ての期待が向いたのだとしても。
自分は姉の下位交換だと分かっていながらも。
姉に対するリスペクトを失ったら、それこそ自尊心が崩壊してしまう。
たった1人の無償の味方ですら、認められないというのなら。
それこそ、私は誰からも認めてもらえない存在になるだろうと。
橋本「お姉ちゃんは素敵な人だと思うよ。
素直にそう思う。
Aのことを本当に心配して、逃がしてくれた。
夢を叶えてくれた、味方でいてくれた。
大変だねって話を聞いてくれる人はいても、実際に行動に移してくれる人は少ない。
けど、Aだってそれは同じでしょう？
逃げたいっていう、お姉ちゃんの気持ちを知ってたから。
話を聞くだけでも良かったのに、自分からその重圧を引き受けることを選んだ。
お姉ちゃんの代わりに、お母さんの期待を受け継いだんでしょう？」
「それは…」
橋本「お姉ちゃんが夢を見つけたから。
お母さんに逆らってまで、自分の道に進んだから。
その覚悟を知って、静かに応援したんでしょ？
だから、どれだけ辛くてもお母さんの言いつけを守った来たんでしょ？」
「…そうなの、かな。
私はそうしてきたつもりだよ。
ちゃんと出来てたかは分かんないけど…」
橋本「お母さんからの期待と重圧に苦しむお姉ちゃんを見てた。
その上で自分も受けようなんて、本当にお姉ちゃんを思ってないと無理だよ。
自分が頑張れば、お姉ちゃんは解放される。
受験も勉強も仕事も、全部期待に応えて来たじゃん。
それは、Aだってお姉ちゃんみたいに素敵な子だってことだよ。
優しくて強くないと、絶対出来ないんだから」
どうしてななみんは、欲しい言葉をくれちゃうんだろう。
1番、言ってほしかったんだ。
お姉ちゃんと私で優劣付けるんじゃなくて、どっちも素敵だよって。
どっちも大切な娘だよって、優しく抱きしめて欲しかった。
そう言ってほしかった、そう行動で示して欲しかっただけなのに…
核心を突かれて、心が大きく揺れた。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年3月18日 10時
