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「…っハァハァ」


『A、苦しい?』


「…ヒックヒックハァハァハァハァ(コクン)」


『大丈夫大丈夫、ゆーっくり深呼吸しようか。

息吸えてるからね、落ち着いて吐いてみよう』


「いっ…」


『どこか痛い?お腹痛い?』


「…ヒックヒックハァハァ(コクン)」


『お腹痛いか、一旦横になろうね』


「ごめんなさ…っハァハァハァハァ」


『謝らんでええよ〜、大丈夫やからね』




そして、痛みは私の体をゆっくりと締め付けていく。

夏は気が張っていたから、落ち着いていたのに…

気力というのは、あまりに素直で恐ろしい。

頑張り続ける明確な目標が、目の前から消えてしまったら…

私は、武器も持たずに佇む兵士同然だ。

ボロボロの自分は、幻じゃなかった。

むしろ、こっちが現実だ。




『最近調子悪いね…』


「映画…っ」


『映画が公開されてから、何か言われちゃったの?』


「ママに…批判が来て。

それで…怒られたっていうか、ママが傷ついてる…

私がママの子供じゃなければ、こんなことにはならなかったのに…っ

アイドルじゃなければ、もっとマシだったかもしれない…

ママのこと悪者にして、自分だけ守られてる。

酷い娘だね、私って…っ」


『そんなこと…』


「…った」


『大丈夫?まだ痛む?』


「うん…いたい…っ」




場所や時間を問わず、繰り返し襲ってくる腹痛。

その他にも、体のあちこちに不調を来たしている。

不安とストレスから来る体調不良であることは、自分が1番分かっている。

こないだまで、真夏のステージに立っていたのが嘘のようだ。

なんて脆い、私の体。




『薬減るの早いけど、過呼吸よくなるの?』


「うん…」


『体力使うし、苦しいやろ。

もうちょい、薬の量増やしてもらおうか?』


「そうしようかな…」


『病院の先生に頼んどくな』


「ありがとう、まゆちゃん…」


『私は全然ええんやけど、Aにとってはよくないことやんな。

辛そうなAを見てるのはしんどいし、1番は心配やし。

せめて、家だけでも離れられたらええんやけどなぁ…』


「まだ未成年だからね…」


『ほんま、苦しくなったら夜中でも絶対電話してよ?

電話がしんどかったらメールでもええから。

変なこと考えそうになる前に、絶対知らせて』


「うん…」




変なこと、の内容は自分でも分かってる。

生きることへの執着が薄れて来てるのを、見抜いてるんだと思う。

この約束が、ギリギリの所で私を繋いでいる。

歪みは叫んで吐き出して→←脆い自分は夢じゃない



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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年3月18日 10時

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