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結局私は卑怯な子 ページ7

『ちょっと、何あれ!』


「ママ、落ち着いて…

まだここ、楽屋近くだから。

メンバーもスタッフさんもいるし…」


『そんなことどうでもいいのよ。

あの謝罪会見は何だって聞いてるの』


「だから、あれはさゆりんが…」


『コンサートの私物化でしょう?』


「いや…」


『いいから、上の人呼んできなさい!

あんたと話してても拉致あかないから!』


「今忙しいから、ちょっと待って。

あと、声大きいから…!

みんなに聞こえちゃうでしょ…!」




舞台裏に捌けたら、背筋が凍りそうな展開が待ち受けていた。

ママが…

さっきまで、客席にいたはずのママがいたのだ。

怒り心頭。

今にも取ってかかりそうな勢いだった。

私はせいぜい、その場を宥めることしか出来ない。




『私たちは、何を見せられてるの?

あの子の謝罪会見を見に来たんじゃないんだからね?

最後の最後に気分悪い。

しかも、ファンもファンだよ。

お涙頂戴に拍手しちゃってさ。

みんな、受け入れますよみたいな空気作り出してて。

こないだまで、ネットで非難轟々だったくせに』


「…なんでママは、何にも感じなかったの?」


『え、嫌いだから』


「え…」


『あの子が嫌いだからに決まってるじゃん。

ママは、何にもない子のことは嫌いとか言わないよ?

何でもかんでも、嫌いとか言ってるわけじゃないんだからね。

あの子が、最低なことするからでしょ。

ルール違反してまで居座るなんて、ほんと図々しい』


「でも、だから反省して…」


『どうだかね。

あぁいう子は、繰り返しやるんだよ。

そういう運命なの。

今はね、まだしゅんとしてるかもしれないけど。

どうせ、喉元過ぎれば熱さを忘れるんだから』


「そんな…!」


『いい?絶対許しちゃダメだからね!』




止まらない。

…どうしよう。

今はまだ、みんな楽屋の中にいるけど。

もし、外に出てこっちに来ようもんなら…




「…分かったから。

ママの言う通りにする。

さゆりんとは、距離置くから。

約束するから、今日はもう帰って」


『…ほんとに?』


「うん、ほんと」


『はぁ…分かればいいの。

最初から、素直になればいいのに…

相変わらず可愛くないんだから』


「ごめんなさい…」


『もっと賢く、知的に生きてちょうだいね。

最終的には、自分が損するんだから』




こうするしかない。

そして私は、また…

自分を守るために、卑怯な方法を使うんだ。

本当に、私は最低で卑怯な子だ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

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