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もがきながら生きている ページ49

松村side


Aのスピーチには、心が締め付けられた。

彼女は、どんな思いであぁ言ったのだろうか。

何を考えて、あの言葉を…

誰に向けて?

何を伝えたくて?

聞きたいことは山ほどある。

気づけば、自然と足が向いていた。




松村「A…!」


「あ、さゆりん…っ」


松村「大丈夫!?」


「ごめ…肩貸して」


松村「肩と言わず、背中乗って?」


「え、でも…」


松村「頑張りすぎやから…早く!」


「ありがと…」


松村「間に合って良かった…」


「助けてくれてありがとね」




ちょうど、楽屋への通路を歩いてる所で。

間一髪、フラっとしたところに間に合った。

相当体力を消費してる。

当たり前か、こんなほっそい体で…

よく、7時間半の本番を耐えられたと思う。




松村「A…大丈夫?」


「安心したら力抜けちゃっただけだから。

ちょっと疲れてるけど大丈夫。

思ったより、アドレナリン出てたみたい」


松村「そっか」


「さゆりん、ステージどうだった?」


松村「…まだ、怖かった」


「そっか」


松村「でも、ちょっとだけ楽しいとも思えた。

頑張るって決めたのは、私やから。

諦めなくて良かったよ…うん」




顔が見えないからか、お互いに腹を割って話が出来る。

まさか、Aの方から振ってくるとは思ってなかった。

私も聞こう。

今しかない。




松村「ねぇ、A…」


「んー?」


松村「あのスピーチは、何を思って語ったん?

誰…というか、何に対して話したのかなって」


「あぁ、う〜ん……自分、かな」


松村「自分?」


「別に、辛いならいざと言う時は生きる以外の選択肢を選べばいい。

そういう道もあるよって。

私は、そう言いたかったんだと思う。

あくまでも選択肢だけどね。

選択しても思うようにはいかない。

それが、命の儚さであり、逞しさであり、美しさだと思ってるから」


松村「A…」


「私だけじゃないと思う。

こんな気持ちを抱えてる人は。

…さゆりんも、そうなんじゃない?」


松村「…うん」


「さゆりんが、あのスピーチに引っかかったってことは…

きっと、そういうことなんだよ」


松村「A…」


「一緒に生きたいなぁ…」


松村「生きよう」


「そうだといいな」


松村「うちが、絶対一緒に生きたる」




絡まっていた疑問が解けた。

苦しくて、辛い時期。

彼女も私も、もがきながらも生きているのだ。

そして、これからも一緒に生きていくのだ。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

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