・ ページ43
『じゃあ次、マネキンやりまーす。
その後、休憩挟んだら通しだから。
各自、自分の場所確認しといてください』
「「はい！！」」
バースデーライブは、会場リハに入った。
ここまで来たら、もう本番は目と鼻の先。
丁寧に仕上げなきゃ。
そして、完璧な状態でステージに立つ。
夏の悔しさは、ここで取り返すんだ。
ただ、気力は十分にあるものの…
体は思うように着いていかない。
悲鳴を上げ始めている、私の脆い体。
ほんっとうに、肝心な時に使い物にならないんだから…！
『白橋、ちょっと遅れてるから。
後半、かなりバテてたから気をつけて』
「はい…っ！」
『特に、しゃがんでから立つところね。
遅れ目立ってたから、周りに合わせてね』
「すみません…！」
いつものように動けない。
頭では分かってるのに、体が言うこと聞かない。
あともう少しで、本番だと言うのに…
こんなんで、本当に間に合うのかな。
『導線だけど、ここ選抜はダッシュね！
早着替えして、3分で次出るからね。
センステからバクステまで、遠いけど頑張って』
表舞台だけじゃない。
裏の指示もバンバン飛ぶ。
もちろん、頭には全部入ってる。
イメージも出来てる。
それなのに、体が追いつかない。
走って移動して、ステージに出て数曲披露。
今まではなんてことなかったのに…
もう、次から次へと不安でしかない。
『白橋、ちょっといい？』
「はい…」
『なんか…調子悪い？
絶対、いつもと様子違うよね』
「…すみません」
『さっきも、曲の始め間に合ってなかったし。
導線覚えきれてなかったの？』
「いや、それはもう入ってて。
ただ、ちょっと体が…」
『白橋って、結構体力ある方だったよね？
…今になって体調不良は勘弁してよ。
座長が不在のバスラは、話にならない』
「それはもちろん…」
『替えが効かないからさ、白橋は特に。
今日、たまたま体調悪いとかなら、全然いいんだけど。
直前になって出演キャンセルは、色々大変だから…』
「はい…すみません」
『リハ自体は、かなりいい感じだから。
白橋、このまま最後までよろしくね』
「はい、ありがとうございます」
もちろん、承知してる。
代わりがいないから、絶対に出るしかないってこと。
不安の他に、大きなプレッシャーも加わる。
這いつくばってでも、絶対にステージに立ってやる。
意気込みだけで、ボロボロの体に鞭を打ち続けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月23日 17時
