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橋本side
桜井「A、どこ行くの？」
「食堂に忘れ物した。
取りに戻るから、みんな先行って。
走ってすぐ追いつくから」
生田「了解〜」
胸の奥がザワついていた。
さっきの、Aの食べ方…
今まで、あんなにシビアに食べ物を管理してたのに？
太るのが嫌だって、あんなに拒絶してたのに？
そんな人が、いきなりこんな…
1人前か、それ以上の食べ物を口にするなんて有り得る…？
さり気なくお皿を覗いたけど、残してはいなかった。
頭の中には、思い当たる単語があって。
点と点が繋がった時には、体が勝手に動いていた。
:
橋本「A…っ！」
「来ないで！」
橋本「いるんでしょ？ドア開けて！」
「ダメ…っ！」
橋本「お願いだから！早く開けて！」
「やめて…っ！」
橋本「大丈夫？」
「うぅ……おぇっ」
橋本「A、いいから開けて！」
「ダメなの…っ」
橋本「怒らないから、お願い…！」
ビンゴ。
私の悪い予感は、ものの見事に当たってしまった。
しっかり個室には、鍵が掛けられていて。
中からは、苦しそうに嘔吐く声が聞こえて。
だから、いても立ってもいられなくて。
かなり力ずくに、鍵を開けさせてしまった。
橋本「A…！大丈夫？」
「ごめんなさい…っ！
ごめんなさい…ごめんなさい！」
橋本「怒ってないから、謝らないの」
「やっぱり…怖くて…っ！
だって、あんなにたくさん…
無理だよ、あれ全部吸収したら絶対太るもん…っ」
橋本「…手、赤くなってる。
これ、吐きダコでしょ。
もしかして、最近ずっと症状あった？」
「…ここ数週間。
ママに、普通の体型になれって言われて。
だから、ママの前では普通に食べてて。
でも…怖かったから。
だから、全部無理やり…」
橋本「…辛かったでしょ。
自分でこんな…苦しかったよね」
「最低なの、私…っ
食べ物無駄にして…ほんとに最低。
だったら…私なんか、食べない方がいいんだ…っ」
橋本「違う、違うよA…！」
「…痩せてたいの、私。
太ったらダメなの。
食べちゃダメなの、私。
気持ち悪いの、自分が変わってくのが。
怖いの、体重が増えるのが…っ」
橋本「A…っ」
もう、ダメだ。
泣きじゃくりながら、全部を話してくれた。
抱きしめた体は、もう骨がはっきりと感じられて。
ちょっと前とは、見違える体になっていた。
これ以上は危険だ。
今すぐ、彼女を助ける必要がある。
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作者名：しろりんご。
| 作成日時：2023年2月23日 17時
