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「別に、やったことを許したわけじゃないよ。

なかったことにしたわけでもない」


『だったら何なのよ。

ママみたいに、乃木坂のファンじゃない人にも。

きちんと納得出来るように説明しなさい!』


「だって…残るのが1番辛いじゃん。

ずーっと、非難の言葉に晒され続けるんだよ。

それでも舞台に立たなきゃいけない。

私たちが思うより辛いと思うよ」


『そんなの当たり前でしょ。

何甘ったれたこと言ってんの。

それだけのことしたんだから。

ママは、もっと辛い経験してきたんだからね』


「そりゃ、ママが努力でここまで来たって言うのは知ってるよ。

知ってるけど、でも…

それで、さゆりんの頑張りを蔑ろにしていい理由にはならないでしょ」


『あの子は、世間を知らなすぎるんだよ。

甘すぎなの、いい年した大人が。

あんたみたいな学生が、そういう考えなのは分かるよ。

でも、あの子もう20歳過ぎてるんだよ?

それなのに、こんなことくらいで…』




確かに、ママはすごい。

小さい頃から、優秀な兄姉と比較されてきて、唯一勝てるものが音楽だった。

それでも、誰からも期待されなくて放ったらかしにされていた。

習い事も満足にさせてもらえず、褒めても叱ってももらえなかった。

でも、ママには意地があった。

絶対に見返してやるって気持ちだけで、ママは自ら行動を始めた。

独学でバイオリンを練習して、それで藝大にストレートで入って。

公演で忙しい合間を縫って、音楽関係の会社を立ち上げた。

音楽家になる人も多い中で、自分は1人で生きていくって決めたママは、まず仕事を作ったのだ。

アルバイトで貯めた資金を元に、師匠のツテを辿って経営のノウハウを身につけた。

運がよく起業が上手く行き、美人学生起業家として有名になった。

SNSを駆使した採用を一般化させたのもママだって話は、何度も聞いた。

そしてそれから、たくさんの部下に信頼されながら女社長としてバリバリ働いた。

そのお金で、奨学金を全て返済したらしい。

返済後、突然その会社を部下に譲ったかと思えば、今度は秘書になって。

医療秘書の資格を取って、パパと結婚した。

女が社会で活躍するためには、資格が必要だからって。

努力と根性と意地で、ここまで鮮やかな経歴を作ってきた。

我ながら、本当にすごい母親だと思う。

けど。

それだったとしても。

同じ物差しで測られたら困る。

みんながママじゃない。

むしろ、そんな人の方がひと握りなんだから。

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作者名:しろりんご。 | 作成日時:2023年2月23日 17時

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